こんにちは。長谷川です。
 年の瀬ということもあり、毎日慌ただしい日が続いています。心身ともに落ち着かず、相変わらず、悶々として過ごしている感じです。早くこの感じが解消すると良いんですが。。。

 さて、離婚の際に熾烈な親権争いが繰り広げられることはよくありますが、やっと親権者が決まった後も、子どもの取り合いが継続することは珍しくありません。

 たとえば、親権者が、非親権者に対して子どもとの面会交渉を許していたところ、非親権者が、面会交渉後に子どもを返さなくなったような場合があります。また、親権者が病気やその他の事情によって一時的に子どもを育てられなくなり、やむを得ず非親権者に子どもの養育を委ねていたところ、親権者が病気等の事情が解消して子どもを育てられる状況になったにも拘わらず、非親権者が子どもを返さないといった場合もあります。

 こういった場合、親権者・非親権者とも、それぞれ法的に採りうる手続きがあります。

 まず親権者の場合。
 当たり前ですが、子どもと一緒に暮らす・子どもを養育する権利は、原則として親権者のものです。

 従って、親権者としては、家庭裁判所に対し、子どもの引渡の審判及び引渡の仮処分の申立をすることが考えられます。

 申立人が親権者である場合、よほど長期間、非親権者が子どもを養育しているといった事情がない限りは、原則として「親権者に引き渡せ」という審判が下ります。

 また、審判(本案)の申立に際しては、併せて仮処分も申し立てた方が良いと思います。というのも、子どもの取り合いは、何よりも時間が勝負だからです。たとえ子どもが非親権者の下で暮らしていても、長期間が経過してしまうと、親権変更が認められる可能性が出てきますし、「安定している現状を優先」ということにもなりかねませんので、1日も早く取り戻しを図るべく仮処分も申し立てるべきなのです。

 仮処分とは、文字通り、「仮」に子どもを引き渡すように命じる処分です。ただ、本案の結果を見据えて仮処分を下すことが通常なので、仮処分で引渡を命じられたら、本案においても、引渡を命じられる可能性が高いと思います。

 結論が同じになるのであれば、本案以外に仮処分を申し立てる必要があるのかという問題になりますが、必要はあります。というのも、仮処分は、緊急を要する場合に行われる処分の為、申立が行われると、裁判所は非常に早く処分を下してくれます。通常だと本案自体の期日は、申立から1ヶ月程度先に設定されます。しかし仮処分だと、早ければ10日程度で期日が設定されますので、進行が非常に早くなるわけです。

 従って、子どもの取合いのような時間勝負の手続きにおいては、仮処分は、非常に有益な手段ということになります。

 次回は、親権者がとりうるもう1つの手段、人身保護請求手続きについて紹介致します。

弁護士 長谷川桃