夫婦関係が悪化して、すでに別居に至っている状態で離婚を考えるということはよくあるケースです。

 今回は、離婚請求にともなって、別居後離婚までの子供の監護費用を求める方法についてお話します。もっとも、離婚請求は、原則として調停の申立てを経てから提起することとなっていますので、ここでのお話は離婚調停や離婚の審判でも解決ができなかった場合です。

 例えば、妻が子供を別居後に妻側の収入だけで養育していて、夫から婚姻費用も子供の監護費用さえも貰っていなかったとなれば、離婚請求に附帯してせめて別居後の子供の監護費用も請求したいものと考えられます。

 ところで、婚姻費用の分担の申立ては、離婚請求とともにはできないとされています。その一つの理由としては、離婚と婚姻費用分担に関する処分では、裁判の基礎とする資料が異なるということがあげられています。

 そこで、従来は、婚姻費用分担については、離婚訴訟と同時に解決することができないとされていることから、別居後離婚までの子供の監護費用請求の申立ても離婚訴訟に附帯してはできないという考えもあったようです。子供の監護費用は婚姻費用の一部だとも考えられるからです。

 ところが比較的最近、最高裁によって、このような子供の監護費用の申立てもできるという考えで決着がついたようです。判例では、このような申立ては、「子の監護に関する処分」(人事訴訟法32条1項)として、適法であるとしています(最判平成19年3月30日最高裁判所裁判集民事223号767頁)。

 婚姻費用の中に子供の監護費用も含まれている場合もあるけれども、必ずしも夫婦自体の生活費用である婚姻費用と子供の監護費用とは性質が同じというものではないということのようです。