APECが開催され、各地で警備が厳しく、混雑して大変でした。先日、羽田空港を利用しましたが、滑走路渋滞なるものが生じ、飛行時間が遅れて、迷惑を被りました。早く、正常に戻ってくれればいいなと思っています。
さて、今回は、以前、喧嘩した時、勢いで離婚届を書いてしまったけど、今は、離婚する気持ちが無くなってしまいました、どうしたらよいでしょうか、という点について説明したいと思います。
離婚をするには、離婚をしたいという離婚意思がなければなりません。この離婚意思は、離婚届を役所に提出するときになければならないことになっています。ですから、以前に書いた離婚届を、配偶者が勝手に提出してしまったとしても、これは、無効になります。
しかし、離婚届を受け取った役所は、離婚届に、夫婦双方が署名押印したものを持参されると、通常は、離婚意思があるものと考えて、離婚届けを受理してしまいます。離婚届が受理されると、戸籍に離婚の事実が記載されてしまいます。
このようなことを防ぐためにある制度が、不受理申出制度です。
本籍地の市町村役場で、不受理申出の手続をしてください。役所に行き、離婚の不受理申出の手続をしたいと言えば、書くべき書類を教えてもらえると思われます。本籍地の市町村役場に、遠くてどうしても行かれないなどの場合は、最寄りの役所で手続をすることができないこともありません。申出書を2通作成して提出します。すると、1通を本籍地の市町村役場に送付してくれます。
ただし、手続に時間がかかりますので、その間に、受理されてしまうと、一旦は、戸籍に記載されてしまうこともあります(不受理申出が先になされていれば、後で消除はされますが、手続は煩雑で、時間もかかってしまいます。)。ですから、できるだけ、本籍地の市町村役場で手続をするのが良いでしょう。
不受理申出の手続が間に合わず、離婚届が先に提出され、受理されてしまった場合には、裁判所の手続をとるしかありません。
まず、家庭裁判所に、離婚無効確認を求める調停を申し立ててください。調停の中で事実確認が行われ、離婚を無効とすべきであると判断され、さらに相手方が離婚無効の審判を受けることに同意した場合には、離婚無効確認の審判がなされます。離婚無効確認の審判が出たら、それを持って役所に行き、手続をすると、離婚届が提出される前の状態に、戸籍が訂正されます。
離婚無効確認の審判が受けられないときは、家庭裁判所に、離婚無効確認の訴えを提起するしかありません。これで、離婚無効確認の判決をもらったら、離婚無効確認の審判をもらった時と同じように、それを持って役所に行き、手続をすると、離婚届が提出される前の状態に、戸籍が訂正されます。
一旦、離婚手続がなされてしまうと大変ですので、離婚の意思を翻意した時は、速やかに不受理申出の手続をとられてください。
弁護士 松木隆佳