夏から秋を通り過ぎて一気に冬が来てしまったようですね。空気が乾燥して風邪をひきやすくなっています。私は、情けないことに、体調を崩してしまいました。皆さんもお気をつけください。
さて、今回は、ご相談者の中に、監護権と親権のことをよく理解されていない方が多かったので、この点についてご説明したいと思います。
親権とは、法律上、子どもを持つ親だけにしか与えられていません。おじいちゃんやおばあちゃんが代わりに親権を行使することはできません。親権とは、その親が子どものために持つ社会的又は経済的な権限です。親権を持っていると、子どもに代わって、法律上の行為、例えば家を借りたり、車を買ったりすることができます。子どもの財産を管理したり、居住場所を定めたりすることもできます。そして、原則として、親権を持っている者が監護養育にあたることになります。この監護養育をする権利が監護権です。
婚姻期間中は、夫婦が一緒に親権を行使することができますし、監護権を行使して監護養育にあたることもできます。
問題は、別居をしたときです。夫婦が別居をしても、お互いの親権が奪われることはありません。ただ、子どもは、父親のところと母親のところとの両方に住むことはできません。結局、どちらか一方が監護養育していくことになると思います。このように、婚姻期間中、別居の際に問題となるのが監護権です。
別居をしても、夫婦のいずれも親権を失いません。同様に監護権も失いません。ただし、監護権を行使する者をどちらか一方に定めなければならなない必要に迫られます。
この監護者指定について、裁判所で争うとすると、監護者指定の審判、子の引渡しの審判などになります。
別居をしても夫婦関係が修復せず、ついに離婚をすることとなると、親権が問題となります。
離婚をする時、夫婦は、親権を行使するものをどちらか一方に定めなければならなくなります。そのため、親権者の指定のみをやる裁判所の手続はありません。離婚の手続の中で、必ず定められることとなります。そして、通常、親権者が監護権者となります。
法律上、親権を行使する者と、監護養育していく者を別に定めることもできます。しかし、通常、裁判所は、同じ者にします。
このように、監護権者は婚姻中でも別居しているときから問題となりますが、親権者は離婚をしたときに問題となることなのです。
なお、別居中の監護養育者が定まっていると、離婚の際、親権者や監護権者は、別居中の監護養育者に定められることがほとんどです。そのため、子どもの親権を争うのであれば、別居期間中の監護養育者としての地位を確保していくことが重要となります。
弁護士 松木隆佳