皆様、こんにちは。
1 イントロ
肌寒い季節になってまいりました。雨もよく降り手足が冷えたせいか、先月は2回熱を出してしまい大変でした。今年は例年より手袋やマフラーを用意するのが早くなりそうです。
さて今回は、面会交流に関する内容をご紹介します。面会交流を実現する方法として、裁判所上の手続として履行勧告や間接強制といった手段があることは当法人の他の弁護士の記事よりご存じかと思います。私からは、実際の事件をご紹介して裁判所がどのようなスタンスで臨むのか見ていきたいと思います。
2 事案の概要
紹介するのは間接強制を申し立てた事件です。つまり面会交流に応じないので違約金の支払いを求めたという事案です。
本件では面会交流の審判を経て、3ヶ月に1回お子さんを会わせるという取り決めがなされたのですが、約束が守られませんでした。
相手方に再三面会を求めたのですが、ⅰお子さん方は怒鳴られたことがあるため怖がっており、試行面接の場でも動揺している様子や嫌がっている素振りが見られたこと、ⅱ養育費が支払われていないこと、ⅲ面会交流に際して必要となる交通費の負担を求めるという不当な請求をしてきていること、ⅳ不要な物品を着払いで送りつけてきていることを理由に面会は拒否されました。裁判所から履行勧告を行ってもらいましたが、拒否の姿勢が変わることはありませんでした。
そこで、間接強制の申立てに至ったのですが、相手方は面会拒否の理由として上記4点の主張を改めて行ってきました。
しかしながら、裁判所はペナルティとなる金員を支払うように命じました(岡山家庭裁判所津山支部平成20年9月18日決定)。既に審判で面会させてよいか否かという判断もなされており、詳しく争いたいのであれば面会交流禁止や内容変更を求める調停をすればよいと考えているようです。
ただ、他方で、面会交流の不履行があった場合に支払われるべき金額は拒否の事実のみから評価するのではなく、相手方の経済的状況や1回あたりの面会交流が不履行となった場合に生じる交通費等の経済的損失から算定する考え方を示しました。本件では東京-岡山間(面会の待ち合わせ場所)への移動に3、4万円の交通費がかかることから面会交流1回の不履行に対して5万円支払いのペナルティとすべきと判断しました。
3 最後に
上記決定をみると、金額の判断は裁判所の裁量に委ねられている印象ですね。1回5万円のペナルティを大きいと見るか小さいと見るかは人それぞれですが、どうしても子供に会わせたくないという人は、頑張って(?)支払ってしまうのではないでしょうか?
決定本文を読んでみると、申立人側に問題のある振る舞いがあったことが認定されており、裁判所は明記していないものの多少なりとも考慮している節があります。
申立人側を全面的に応援するつもりはありませんが、本件の間接強制申立手続は金額を判断する際に裁判所が当事者間のバランスを取ろうとした時点で、面会を実現させる手段としては一歩後退してしまったといえるでしょう。金額を加減されてしまっては強制力が乏しくなります。
それにしても親の子に会いたいという気持ちの強さに時々面食らうことがあります。私自身は仕事の都合などで親と年単位で顔を合わせないことがあり、親も別に気にしてはいないだろうとかつては思いこんでいました。しかし、色々な方から親の気持ちを知るようになると、軽く考えていた以前の自分を恨めしく思います。
私のような後悔を生まないためにも、親子が会えるようになる方策が編み出せればいいのですが・・・・・・。代理人が子供を説得しに行くわけにもいかず、個人的には歯がゆい思いをすることがあります。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。