こんにちは。今日は、財産分与や慰謝料の、離婚の際の給付(「離婚給付」といいます。)にかかる税金の話をします。
離婚に際して、慰謝料や財産分与名目で、数百万円の金銭のやりとりがなされることは、よくあります。例えば、離婚に際して200万円の慰謝料を勝ち取ったとします。200万円得られるのはうれしいですが、もしもこれに対して税金がかかるとしたら、喜びも半減ですよね。また、慰謝料や財産分与によって得た金銭を元に、離婚後の生計を立てて行こうとしている方にとっては、死活問題です。
離婚給付にかかる税金は、離婚給付が金銭の支払いによる場合と、不動産の譲渡による場合とで異なります。
離婚給付が金銭による場合、基本的に、給付を受けた側も、給付した側も、贈与税、所得税等の税金は課されません。離婚給付が「解決金」というあいまいな名目でなされる場合もあるのですが、これも実質は、慰謝料、財産分与と同じなので、原則として税金が課されません。
ただ、離婚給付の額が、明らかに不相当に高額である場合は、例外的に、贈与税が課されることもあります。調停による場合は不相当な額になることはあまりありませんが、交渉で離婚給付の額を決めるときは、注意が必要です。
これに対して、離婚給付を不動産等の金銭以外の財産で行う場合、給付する側、給付を受ける側のいずれも、課税されることが考えられます。
財産分与として不動産を譲渡してもらった場合、財産分与を受ける側に、所得税、贈与税はかかりませんが、不動産取得税が課されます。
不動産取得税額=不動産価格×取得する持分割合×税率です(現在、住居用土地建物の場合、税率は3%のようです)。
仮に固定資産評価額2000万円の土地(全部相手方の持分)を財産分与でもらった場合、不動産取得税額は、2000万円×1/2(土地の場合、一律、固定資産税額の1/2が不動産価格とされます)×1×3%=30万円にもなります。
また、不動産の登記を移す場合、不動産価格の1000分の20の登録免許税がかかります。
このように、不動産取得税も登録免許税も、実は、大きな負担になることを覚悟しなければなりません。
他方、離婚給付として不動産を譲渡する側にも、譲渡所得税が課税される可能性があります。
離婚給付を受ける側も給付する側も税金負担の問題が生じるので、離婚給付の交渉の際には、税金負担の点もきちんと考えて合意したほうがよいですね。