ニュースによれば、2月5日、カネボウの白斑損害賠償請求訴訟で、カネボウ側は、「当時最先端の医学知識に照らしても、白斑が出る可能性を認識できなかった。高度な安全性試験を実施し開発していた。」という主張をし、賠償責任を負わないという主張をしたそうです。
たしかに、製造物責任法第4条1項には、「当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかった」場合には、製造物責任としての損害賠償責任を負わないということが定められています。そして、この「引渡した時における科学又は技術に関する知見」というのは、引き渡し時点における入手可能な最高水準の知見が求められていると解釈されています。
つまり、カネボウは、「ロドデノール含有製品を売っていた当時の最高水準の医学知識をもってしても、白斑は予見できなかった」ということを主張したいようなのです(あくまでニュースから得た情報にもとづく推測です)。しかし、はたして、被害を受けた人の感覚として、そのような主張をきいて「そうですか。」と納得する人がどれだけいるでしょうか。
昨年9月の第三者による調査報告書によれば、かなり前から、ロドデノール含有製品に対する苦情や疑問がカネボウに寄せられていたとのこと。もし、そういう背景があったとしても、「当時最高水準の医学知識をもってしても、白斑は予見できなかった」という主張が通るのであれば、今度は、「いったい、どの程度の苦情が集まるまで欠陥製品を市場に放置していても製造業者として許されてしまうのか」、という疑問がわいてきます。
たしかに新製品の開発には、危険がつきものです。しかしそうであるからこそ、市場に置いた後に、本当に欠陥がないのかどうかについて追跡し、その時々の最高の医学水準をもって、本当に問題がないのか確かめる必要があるのではないかと感じます。