こんにちは。
今日は、東京電力の原発事故やカネボウの白斑事件などの、企業によって大規模な損害が発生した場合の損害賠償請求について、感じることを書いてみようと思います。

東京電力の原発事故にせよ、カネボウの白斑事件にせよ、被害を受ける人が広範囲にわたっているという点では共通しています。このようなケースで損害賠償請求をするとなると、被害者が一人または少人数の場合に比べて、いろいろな問題点を感じます。

大規模な損害が生じた場合、企業としては、社会的責任を問われるので、まずは、「損害賠償します」という態度を示します。社会からの大きな批判を受けることですし、最初から「当社には責任がありません。損害賠償もしません。」とは言わないでしょうね。そのためか、最初は、比較的柔軟に、損害賠償請求に応じるように感じます。

ところが、損害賠償請求の件数が多くなってくると、企業の態度は次第に固くなっていきます。あまりに損害賠償対象者が多すぎるということに気付くためでしょうか。当初は言っていなかった問題点を指摘し出すのです。
もちろん、たいてい、法的にみてもっともな問題点の指摘であるとは思います。しかし、「それなら最初からそう言ってよ」と被害者に失望、不信感を与えることになります。
他方、実は法的にみると間違ったことを企業側が言っている場合もあります。というのは、このような大規模な損害が生じた場合、企業側としては、損害賠償請求に対応する十分な能力を備えたスタッフを急にそろえることはできず、あまり知識のないスタッフが窓口対応をせざるを得なくなるという事情があるためだと思われます。ただ、被害者側としては、「納得いかないけれど窓口の人がいうのだから仕方ないか」とあきらめることも多いのではないでしょうか。素人には、法的に正しいのか間違っているのか簡単に区別はできないですよね。

また、企業によって大規模な損害が生じたときに、企業は、たいてい、統一的な賠償ルールを作ります。これは、損害賠償手続きがスムーズに行われるというメリットもありますが、ルールに当てはまらないイレギュラーなケースだと、本来賠償されるべきものも賠償されないというリスクを抱えることになります。
企業による大規模な損害についての損害賠償請求は、どうしても企業側主導になりがちですが、企業の主張に疑問を感じることがあったら、第三者である弁護士に意見をきいてみるのも一つの手かもしれません。