こんにちは、弁護士の井上真理です。
 弁護士は様々な法律業務を取り扱うことになっていますが、「医療」「交通事故」等の専門分野とは違い、それ以外のいわゆる「一般民事」と言われるジャンルは家庭問題から金銭トラブルなど、極めて幅広いものです。

 先日などは、「お墓」について、あるテレビ局から協力の依頼が当事務所に来ました。お墓と法律問題?と疑問に思われる方も多いかもしれません。
 内容としては、最近、田舎のお墓の面倒を見きれなくなった都会暮らしの人の間で、お墓を引っ越す「改葬」をめぐるトラブルが増えているようだ、という問題意識に基づいたものです。
 平成25年8月の日経新聞夕刊記事にも特集が組まれていたので、このような記事でお墓問題をご存知の方もいるのではないでしょうか。
 お墓にまつわる法律問題としては、お墓の引っ越しの際のトラブルの他に、特定の仏教の宗派を菩提寺としているお寺に併設するお墓へ、全く別の宗教を信仰しており、お葬式等も別の宗教の形式で行った方のお骨を納めることが出来るのか、というような問題もあります。
 また、亡くなった方の相続などでもめた場合に、お墓の所有権やお墓を守っていく義務と権利(祭祀)は相続問題として考えてよいのか、という問題などもあります。

 世の中のあらゆる出来事は、必ず法律的な側面を持っています。
 お墓の問題ですと、墓地、埋葬に関する法律や各自治体などの行政規則や通達のほか、一般的な民法などが指針となります。
 お暇な方は、民法の897条を調べてみてください。なんと、民法にもしっかりと「墳墓の所有権」なんてものが明記されていたりするんですよ。
 裁判においても、遺骨の所有権などが争われたこともあります(最判平元.7.18等)。民法上相続権の認められない内縁の妻に、祭祀継承者として遺骨の所有権が認められたケースなどもあり、興味深いですね。

弁護士 井上真理