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公衆トイレのトイレットペーパーを持ち帰ると、窃盗罪(刑法235条)に問われる可能性があります。

確かに、公衆トイレのトイレットペーパーは、基本的に誰でも自由に使用することが許されていると思われますので、持ち帰ってしまっても問題がないのではないかとも思われます。
しかし、公衆トイレに常備されているトイレットペーパーは、本来、当該公衆トイレの利用者が使用するために備え置かれたものであって、自宅で利用する等の目的で持ち帰ることまでは認められていないと考えられます。

このように、占有者(=当該公衆トイレの管理者)の意思に反してトイレットペーパーを持ち帰ると、窃盗罪に問われてしまう可能性があるのです。

公衆トイレのトイレットペーパーを持ち帰ってしまうと…

 店舗や公園、駅等の公衆トイレには、利用者のためにトイレットペーパーが常備されています。
 ペーパーホルダー等に装着されている使用中のもののほか、新品のトイレットペーパーがいくつかストックがあることもあります。

 今回の質問の意図はおそらく、公衆トイレのトイレットペーパーはそもそも利用者が自由に費消してもよいものであるから、持ち帰って自宅等で利用してもよいのではないのか、ということかと思われます。
 また、公衆トイレには基本的に常駐の管理者がいるわけではないということも、今回の質問に関係しているのではないかと思われます。

 しかし、公衆トイレのトイレットペーパーを持ち帰ってしまうと、窃盗罪に問われる可能性があると考えられます。
 その理由は、概ね以下のとおりです。

常駐の管理者がいない場合、トイレットペーパーの占有者は誰か?

 まず、公衆トイレには基本的に常駐の管理者がいない、という点についてご説明します。

 窃盗罪に該当するためには、他人が当該トイレットペーパーを「占有」していることが要件となります。
 そして、ここでいう占有は、財物に対する「事実的支配」をいうものと考えられています。

 そうすると、公衆トイレには基本的に常駐の管理者等がいないため、トイレットペーパーを占有している者はいないのではないかと思われるかもしれません。

 しかし、「事実的支配」といっても、たとえば常駐の管理者が見張っている等、必ずしも物理的に占有していることまでは必要とされていません。
 公衆トイレの場合には、当該公衆トイレを管理している店舗や公園、駅等の管理者が、当該公衆トイレの利用者のために、意図的にトイレットペーパーを備え置いていると考えられます。
 そのため、このような管理者が当該公衆トイレのトイレットペーパーを占有しているものと考えてよいと思われます。