こんにちは。
今回も引き続き、労働者派遣法の改正についてお話しさせていただきます。
今回のテーマは、派遣労働者の待遇向上についてです。
派遣労働者の待遇向上については、①無期雇用への転換措置、②均等待遇の確保、③待遇に関する説明義務、④派遣契約の解除と雇用の確保、⑤無期雇用労働者か否かの通知義務、⑥派遣料金額の明示義務の6点が改正されています。
前回は①から③について説明させていただいたので、今回は後編として、④から⑥について説明したいと思います。
(前回の記事はこちら:労働者派遣法の改正について③)
④ 派遣契約の解除と雇用の確保(派遣法26条1項8号、29条の2)
今回の改正では、派遣契約が中途解除された場合に、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置について、規定が新設されました。
従前より派遣労働者は、安易に契約解除されてしまうことが多く、また、次の雇用の機会を得難い状況にあり、労働者として不安定な立場にありました。
そこで、今回の改正により、派遣元企業においては、派遣契約締結時に、解除された場合に、新たな就業機会の確保、休業手当等の支払いに要する費用の負担等の雇用の安定を図るために必要な措置を定める義務を負うことになりました。
一方、派遣先企業においても、派遣先の都合によって派遣契約を解除する場合には、雇用の安定を図るために必要な措置を講じる義務を負うことになりました。 当該必要な措置とは、派遣先や関連会社、他企業における就業先の確保、確保ができないときの損害賠償(解雇予告手当等相当額以上の額の支払い)、派遣元に対する事前の解除申入れ、派遣元からの求めによる派遣理由の明示が挙げられます。
⑤ 無期雇用労働者か否かの通知義務(派遣法35条)
派遣元企業は、労働者派遣をしようとするときは、従前より氏名や就業条件等について、派遣先企業に対して、通知する義務がありましたが、今回の改正では、これに加え、派遣労働者が無期雇用なのか有期雇用なのかを派遣先に対して通知する義務が定められました。
これは、派遣先に3年間を超えて派遣労働者が派遣され、その後も継続して当該派遣労働者との労働関係を継続しようとした場合に、派遣先が当該派遣労働者と労働契約を締結する義務があること、その例外として、無期雇用の通知を派遣元企業から受けた場合には3年を超えても契約締結の義務が発生しないこと(派遣法40条の5)から、派遣先にとって無期雇用かどうかが重要となるため、派遣元から派遣先に対する通知を義務化したものです。
⑥ 派遣料金額の明示義務(派遣法34条の2)
また、新設規定として、派遣元は、派遣労働者の雇入れ時、労働者派遣をしようとするとき、派遣料金額の変更時の3つの場合に、派遣労働者に対し、派遣料金額を明示する義務が課されるようになりました。
派遣料金額は、「労働者派遣に関する料金額の平均額」を用いることになります。
「労働者派遣に関する料金額の平均額」の算定方法は、当該事業年度の、派遣労働者1人あたりの1日(8時間)の派遣料金額の平均額により算出することになります。
また、明示の方法としては、書面の交付、電子メール、ファクシミリのいずれかの方法によることになります。
弁護士 中村 圭佑