こんにちは。
今回は前回に引き続き、労働者派遣法の改正についてお話しさせていただきます。
今回のテーマは、事業規制の強化についてです。
事業規制の強化については、①日雇派遣の原則禁止、②グループ企業派遣の8割規制、③離職後1年以内の派遣禁止の3点が改正されています。
① 日雇派遣の原則禁止(労働者派遣法35条の3第1項)
「日雇派遣」とは、1日のみの労働契約だけではなく、雇用期間が30日以内のものを総称した名称です。そのため、雇用期間が1日という場合はもちろん、30日という定めであれば、本規定に該当しますが、1か月ということだと、31日の月もあるため、必ずしも本規定に該当するわけではありません。
もっとも、本規定は、短期派遣のような不安定な雇用形態を防止するものであることから、一部例外が設けられています。
例外としては2つあり、(ア)日雇派遣をしても適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる一定の業務の場合(「17.5業務」と呼ばれています。)、(イ)雇用機会の確保が特に困難な労働者の雇用継続等を図るために必要な場合です。(ア)については、派遣法施行令に定められています。(イ)については、60歳以上の者や、昼間学生(夜間や通信、社会人学生でないもの)、副業として行う者(主たる業務の収入が500万円以上)、主たる生計者以外の者(世帯収入が500万円以上)の場合に認められています。
② グループ企業派遣の8割規制(労働者派遣法23条の2)
本規定は、グループ企業内の派遣を制限するもので、派遣元からグループ内に派遣された労働者の「総労働時間」を、派遣元の全派遣労働者の「総労働時間」で割った値が8割以内になるようにしなければなりません。
グループ企業と言えるかは、連結決算を導入しているかによって判断が異なります。連結決算を導入している場合には、派遣元の親会社と親会社の連結子会社がグループ企業(親会社が議決権の過半数を有するもの、又は、議決権の40%以上を保有し、かつ、財務及び事業方針の決定を支配しているもの)とされます。連結決算を導入していない場合には、派遣元の親会社と親会社の子会社(親会社が議決権の過半を有するもの)がグループ企業となります。
③ 離職後1年以内の派遣禁止(派遣法35条の4、40条の6)
本規定は、派遣先を離職してから1年以内に、当該派遣先に派遣労働者として派遣することを禁止するものです。また、派遣先もそのような労働者を受け入れることが禁止されています。
対象となる労働者は、正社員のみならず、アルバイトやパート等の非正社員も含まれますが、例外として、高年齢者の継続雇用等(高年齢者等の雇用安定等に関する法律参照、過去ブログ内(「高齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正について」等)にも解説があります)のための場合には除かれます。
弁護士 中村 圭佑