電話勧誘販売とは、事業者が消費者の自宅や勤務先に電話をかけて、商品やサービスの契約を勧誘する販売方法です。

 電話勧誘販売は、訪問販売や通信販売と同じように、家に居ながらにして手軽に商品やサービス等を購入できるというメリットがある半面、消費者にとっては、不意打ちであったり、勧誘方法が強引であったり、商品についての説明が不十分であったために実物とはかけ離れていたり、という問題点も多く、トラブルが後を絶ちません。ちなみに、2008年度に消費生活センターが受け付けた相談の申し出件数は4万8684件で、相談全体の約5パーセントを占めており、相談が多い商品としては、教養娯楽教材、サラ金・フリーローン、分譲マンション、資格講座といったところです。

 そこで、このようなトラブルから消費者を守るため、特定商品取引法によって電話勧誘販売に対する規制が行われています。法律上、電話勧誘販売を行う事業者に対し、電話の際に事業者の氏名、名称、商品等の種類を明示することや、執拗な勧誘の禁止、契約後には契約内容や、8日間のクーリングオフがあることなどを記載した書面の交付等、一定の義務が課されています。

 さて、このような電話勧誘販売は日本に限った販売方法ではありませんが、海外における電話勧誘販売の規制はどのようになされているのでしょうか。

 まず、EUでは、1997年に「隔地者間の契約に関する消費者保護についての指令」を制定し、自動架電装置(ボイスメールシステム)やファックスを使用する場合に、消費者の事前の同意が必要と定めました。

 デンマーク、ルクセンブルグ、ドイツでは、電話勧誘一般について事前の承諾の無いものが禁止されています(オプトイン規制)。

 また、アメリカでは、2003年から、連邦取引委員会(FTC)が、オプトアウト規制を徹底した「Do-Not-Call」制度を実施しています。これは、勧誘電話そのものを禁止するのではなく、登録された電話番号に電話をかけることを禁止するもので、電話加入事業者は3ヶ月毎にFTCの登録リストをチェックすることが義務付けられ、事業者がそのリストに登録されている消費者に勧誘電話をすると、一回の違反ごとに最大1万1000ドルの罰金を課されます。現在では、アメリカの外にも、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、英国、およびオランダが“Do Not Call”制度を導入しているそうです。

弁護士 堀真知子