弁護士  金崎浩之


 税理士法人トーマツが、税務当局の追徴課税処分に対し、企業を支援するサービスを開始するそうです(2010年1月19日付日経新聞朝刊)。

 新聞などの報道によると、国内の問題だけではなく、国際的取引における移転価格税制やタックスヘイブン対策税制に絡む処分への対策支援にも支援を広げているようです。
 移転価格税制の問題では、日本と新興国の双方から二重課税される事案も出てきているそうです。たまったものじゃありませんよね。二重課税だなんて。同じ税金を二回納めるようなものですから。

 新興国で思い出しましたが、タイで仕事をしている私の友人弁護士(日本人)も、移転価格税制の問題を中心にやっています。タイと日本との間では貿易も盛んですし、進出している日系企業もたくさんありますから。

 ところで、トーマツの支援サービスでは、税務訴訟を行う場合などには、弁護士の紹介も行うとありました。日経新聞の記事には、「専門の弁護士を紹介」とありましたが、なかなか現実的には難しいでしょうね。他の弁護士よりも比較的租税訴訟をやった経験があるという程度の弁護士はいると思いますが、なかなか税務を「専門」でやっている弁護士って、たぶん日本にいないのではないでしょうか。
 アメリカなどではtax lawyer といって、税法問題を専門にしている弁護士がいるようですが、あちらでは通常日本の税理士がやるような仕事も弁護士がやりますから。税務専門の弁護士がいるのは理解できます。
 でも、日本の場合、法律関係の資格が多岐に分かれているでしょう。弁護士、税理士、司法書士、弁理士、社会保険労務士、行政書士等々…。こんなにたくさん資格があるのは世界的にはめずらしいそうですよ。たぶん、日本くらいじゃないですか?例えば、会社の設立登記なんていうのは、日本だと通常は司法書士の仕事ですが、外国では弁護士の仕事です。また、特許の出願なども、海外では知財専門の弁護士がやります。ちなみに、弁理士さんの中には、弁理士のことを英語で patent lawyer と訳したがる人がいますが、これは大変な誤訳です。patent lawyer といったら、外国では特許専門の弁護士という意味になります。
 ちょっと話題がそれてしまいましたが、日本の法律関係資格の多さが、税務専門の弁護士が育たない土壌のひとつになっているような気がします。

 でも、トーマツさんには、日本の企業のためには、是非頑張ってもらいたいと思います。私どものクライアントの中にも既に海外に進出している企業、今後進出予定の企業がありますので、もしかしたらどこかでお世話になるかもしれませんしね。