こんにちは。
 今日は、前回に引き続き、分譲マンションの管理費についてお話したいと思います。

 昨今、管理費の滞納問題に頭を悩ませる管理組合が増えているようです。
 管理経費の消滅時効は、最高裁により、5年の短期消滅時効にかかるとされていますから、長期滞納者については、消滅時効にかからないように注意が必要です(最高裁平成16年4月23日判決)。

 では、管理経費を支払わない滞納者に対して、どんな措置をとることができるのでしょうか。
 管理経費の不払いについて、裁判所を利用する手続は3つあります。

① 支払督促
② 少額訴訟
③ 通常訴訟

です。

 ①支払督促というのは、裁判所の実質的な審理を経ずに、形式的な手続だけで、債務者である区分所有者に対し、裁判所書記官から支払を督促してもらう方法です。支払督促の送達から2週間以内に異議申立てがされると通常訴訟に移行しますが、区分所有者から異議申立てがなければ、仮執行宣言を付する手続を行って、強制執行をすることもできます。

 ②少額訴訟というのは、60万円以下の請求について、即時に調べられる証拠書類や証人の証言に基づいて、原則1回の審理だけで即日判決が出される訴訟手続です。

 管理組合からすれば、裁判なんて面倒だしお金がかかる、裁判外でできることはないのか、と思われるかもしれません。

 確かに、裁判外でできる方策もいくつかあるのですが、避けるべきやり方もあります。
 たとえば、日常生活に欠かせないライフライン(給水・給湯)のサービスを停めることは、管理経費の滞納問題の解決について、他の方法をとることが著しく困難であるか、実際上効果がないような場合に限って許されるとして、不法行為に該当するとされた裁判例(東京地裁平成2年1月30日判決)があります。
 また、管理経費不払いの事実を掲示板等に掲示・公表して支払を促すことも、第三者に管理費滞納の事実が知れ渡ってしまい、区分所有者の名誉やプライバシーを侵害するおそれがあることから、少なくとも管理組合に関係のない第三者に明らかになってしまう方法では、避けるべきであると考えられます。