こんにちは。
 当法人では、マンションの管理費滞納についてご相談を頂くことがありますので、今日は、分譲マンションの管理費についてお話したいと思います。

 分譲マンションのように1つの建物を区分して複数の人が所有する区分所有建物において、共用部分や敷地などを管理し、維持・修繕するには管理経費がかかります。管理経費は、一般に、管理費、修繕積立金として徴収されます。
 徴収された管理経費は、管理員人件費や、公租公課、共用設備の保守維持費及び運転費等に使われます。

 管理経費の支払義務を負うのは、区分所有者です。区分所有者は、原則として、その持分(専有部分の床面積の割合)に応じて管理経費を負担します。
 分譲マンションを購入して第三者に賃貸したとしても、区分所有者である以上、管理費や修繕積立金を支払わなければなりません。

 ところで、管理経費といっしょに町内会費や自治会費が徴収されたり、徴収した管理経費から町内会費や自治会費が支出されたりすることがしばしばあると思います。

 しかし、町内会費や自治会費は、地域コミュニティを維持・運営するための費用ですので、分譲マンションの共用部分や敷地などを維持・管理するための管理経費とは別ものです。

 裁判例でも、管理組合費月額500円を徴収していたけれど、そのうちの100円は実質的に町内会費相当分の趣旨で徴収していたというケースで、マンション管理組合は、区分所有の対象となる建物とその敷地、附属施設の管理を行うために設置されるので、組合が決定できるのは、その範囲内の事項に限られることを前提に、

「町内会費の徴収は、共有財産の管理に関する事項ではなく、・・・目的外の事項であるから、マンション管理組合おいて多数決で決定したり、規約等で定めても、その効力はないものと解すべきである。・・・そうすると、町内会費を請求する権利主体ではない管理組合が町内会費の請求をすることは認めることができない」

と判断されました(東京簡裁平成19年8月7日判決)。

 管理経費といっても、趣旨や使途が問題となることもあり、ざっくりとはくくれないということですね。