今回は、未払賃料に基づく建物明渡し案件について、ご説明したいと思います。
この種の案件については、弁護士事務所に依頼してから、判決の取得や明け渡しの強制執行が完了するまで、どの程度の期間が必要かといったご質問をよく受けます。
この期間については、当該案件を受任する弁護士事務所の方針等によって異なると思いますが、賃借人が争う態度を示さない限り、弁護士事務所への依頼から勝訴判決までは約2ヶ月程度、明渡しの強制執行までは約4ヶ月程度あれば足りると考えています。
この約2ヶ月程度や約4ヶ月程度という期間については、依頼されている弁護士事務所の対応期間との比較で早いといった印象を持たれる方もおられると思いますが、訴訟に持ち込むまでの日数を短く設定できるように工夫した上で、訴訟における法廷戦略も工夫すれば、追及することが可能な期間です。
とはいえ、この勝訴判決までの約2ヶ月という期間や、明渡しの強制執行までの約4ヵ月という期間も決して短くない期間だと思います。
更に、賃貸借契約を未払賃料に基づき解除するためには、最低約3ヶ月間の未払賃料期間を確保しておく必要があると考えています。
これは、賃貸借契約は賃貸人と賃借人の信頼関係に基づく面があり、たとえ賃料が未払いであっても、その期間が短すぎる場合は未だ信頼関係が破壊されていないとして、賃貸借契約の解除は認められないと判断される可能性があるためです。
そうすると、賃料の未払いが開始されてから、判決取得まで最低約5ヶ月という期間を要し、建物明渡しの強制執行を完了するためには、約7ヶ月という期間を要するということになります。
このように、迅速な訴訟戦略を採用しても、明渡しという結果を導くためには、一定の期間が必要となるため、可能な限り早めに司法手続の利用を検討することが重要だと思います。