こんにちは。
前回に引き続き下請法についてですが、今回はより具体的な事例を紹介したいと思います。
1.建設工事
建設工事に係る下請取引には下請法は適用されません。しかし、建設資材の製造を他の事業者に委託(製造委託)したり、建築物の設計図の作成を他の事業者に委託(情報成果物作成委託)することについては下請法が適用されます。
2.親子会社の取引
親子会社間の取引であっても下請法が適用されますが、親会社が子会社の議決権の50%超を所有するなど実質的に同一会社内での取引とみられる場合には、運用上問題とされません。
3.財団法人・社団法人等の公益法人
資本又は出資がなければ親事業者に該当せず下請法上の規制対象とはなりません。但し、公益法人であっても出資があり、その総額が資本金区分に該当すれば下請法上の親事業者となります。
4.企業と弁護士、公認会計士等との顧問契約
これらの契約は、一般に企業が他者に対して業として提供する役務ではなく役務提供委託に該当しないため、下請法の対象とはなりません。
5.メーカーと運送業者
メーカーがユーザー渡しの契約で製品を販売している場合、運送中の製品の所有権がメーカーにあるときは、当該運送行為は製品の販売に伴い自社で利用する役務であるため、役務提供委託には該当しません。他人の所有物の運送を有償で請け負い、他の事業者に委託する場合には、下請法の対象となります。
6.仮単価
仮単価が禁止されたわけではありません。但し、仮単価の記載では、正式な単価が記載されたことにはならないので、「単価が定められない理由」と「単価を定めることとなる予定期日」を記載し、単価が決定した後には直ちに補充書面を交付しなければなりません。
また、EDIによる発注では、システム上、単価を空欄にできないこともあると思いますが、その場合は下請事業者と十分協議を行い、実際の単価を意味していないことを明示した上で「0円」と記載して発注することは問題ありません。