こんにちは。
 前回に引き続き、下請法についてお話したいと思います。

1.親事業者の禁止行為

(1)下請代金の減額

 親事業者は、下請事業者に責任がある場合を除き、下請事業者との合意の有無に関わらず、発注時に定められた下請代金の額から代金を差し引くことはできません。
 平成16年度から平成21年3月までに勧告・公表された事件の多くは減額に関するものであり注意が必要です。

(具体例)

・合意により単価改定されたが、既に発注した取引まで遡り、引き下げた単価を適用した。
・書面による合意がないにも関わらず、振込手数料を下請代金から差し引いた。
・消費税・地方消費税相当額が支払われなかった。

(2)買いたたき

 下請代金の額を決定する際、発注した内容と同種又は類似の給付の内容に対して通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定めてはなりません。
 下請法違反かどうかは、どのようなプロセスを経て代金が決定されたのかにポイントをおいて行為の外形から判断することとされています。

(具体例)

・納品された後に、通常の対価相当と認められる下請事業者の見積価格を大幅に下回る単価で下請代金の額を定めた。
・原材料価格が高騰しているため下請業者が単価の引き上げを求めたが、十分協議をすることなく一方的に単価を据え置いた。

(3)その他

 下請取引の公正化と下請事業者の利益保護のため、「受領拒否」「報復措置」「支払い遅延」等の禁止行為が定められています。

(具体例)

・ 下請業者に対し自社が取り扱う商品の購入等を要請した。
・割引困難な手形(繊維業は90日、その他の業種は120日を超える場合)を交付した。
・公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に取引停止や数量削減をした。

2.違反行為の取り締まり

 公正取引委員会及び中小企業庁では、毎年、親事業者、下請事業者に対する書面調査をしており、必要に応じて、親事業者の保存している取引記録の調査や立ち入り検査を実施しています。更に公正取引委員会は、親事業者が下請法に違反した場合には、それを取りやめて原状回復させることを求めるとともに、再発防止などの措置を実施するよう、勧告・公表を行っています。

 下請法違反があった場合、下請業者が親事業者に指摘することは事実上困難です。そのため、弁護士や公正取引委員会の相談窓口、商工会議所や商工会に設置されている「独占禁止法相談ネットワーク」などの窓口があります。