1 貸金業界の再編
金融庁の調査によると、国・都道府県に登録している貸金業者の数が今年の7月末時点で5231社となるそうです。これは、貸金業者数のピーク時であった1986年と比較すると、約9割の減少だそうです(2009年9月19日付日経新聞朝刊)。
すごいですね。この23年間で約9割の貸金業者がなくなったんですね。そして、23年かけて少しずつ減少したわけではなく、一番大きく影響したのは殺到した過払い請求のようです。
このように急激に貸金業者が減少しても、資金需要が減ったわけではありませんから、当然、どこかがその代わりに資金需要を満たしてやらなければなりません。
今、その受け皿として注目されているのが、大手の銀行です。
いわゆる消費者金融の貸付残高が減少する中、銀行の個人向け無担保ローンの融資残高が増えているというのです。
2 銀行は完全な受け皿になるか
しかし、従来「サラ金」と呼ばれた消費者金融の受け皿に銀行がなりうるかは甚だ疑問です。
銀行が個人向け無担保ローンを実施しているとしても、消費者金融よりは融資の審査もずっと厳しいはず。従来消費者金融から借りていた人たちの優良顧客の一部が銀行に流れたにすぎないと思われます。
そうすると、他の資金需要に関しては担い手がない。
私は、いわゆるソフト・ヤミ金が大きなビジネスチャンスを得たのではないかと思っています。
これまでのヤミ金は、年利1000%とか2000%で貸付け、ほとんど恐喝的に貸付債権を回収しているというのが実態です。
そももそヤミ金の顧客となる人たちは、正規の金融機関からは借り入れられない人たちです。借金の返済能力を喪失した人たちが顧客なわけですから、法外な金利で犯罪的な取立をしなければ成立しないビジネスモデルだったわけです。
しかし、改正貸金業に始まる業界規制の強化と過払い請求による相次ぐ貸金業者の廃業により、これまでのような金利ではなく、例えば年利30%とか40%でも顧客を得られるようになったわけです。この顧客層は、従来、普通の消費者金融から借り入れしていた人たちです。
ヤミ金のかつての顧客層よりもはるかに「優良な顧客」ですから、以前のような犯罪的な債権回収を行う必要はありません。
しかも、銀行からも消費者金融からも借入ができなくなったため、ソフト・ヤミ金の利用者である顧客層からは感謝されてしまいます。
ヤミ金が紳士的に高利貸しをできる時代の到来です。
このようにして発生するソフト・ヤミ金を「必要悪」と見るのか、それとも新たな弊害としてその摘発に乗り出すのか、今後の政府の方針が注目されます。