各紙の報道でご存じの方も多いと思いますが、大手消費者金融機関の経営状況を整理したいと思います。

 ご存じのとおり、弁護士や司法書士による過払い請求の殺到で、消費者金融の経営が軒並み悪化しています。加えて、改正貸金業法の施行も業界にとっては逆風です。グレーゾーン金利の見直しのみならず、総量規制は市場を大きく縮めてしまいます。おろらく、消費者金融市場は、従来の4分の1以下になってしまうのではないでしょうか。

 そして、以前は、大手4社(アコム、プロミス、武富士、アイフル)は大丈夫だろうと言われていたんですが、経営不振はこの大手4社も例外ではなくなってきているのが現状です。

 特に注目されるのは、銀行の傘下にない武富士とアイフルです。

 アイフルは、これも各紙の報道にあるように、事業再生ADRに事業再生手続きを申請しました。私的整理とはいえ、立派な倒産処理手続きです。また、事業再生ADRで有利子負債を調整しただけで再建できるのか疑問もあり、今後、法的手続きに移行する可能性も否めません。

 では、武富士はどうでしょうか?  こちらも気になる動きがありました。とは言っても、武富士自身の動きではなく市場の反応なのですが、格付機関で有名なスタンダード&プアーズが2009年11月17日、武富士の格付けをBマイナスから4段階下のCCに引き下げたからです。
 CCという格付けは、デフォルトの一歩手前の格付けです。S&Pに投資不適格と評価されたに等しいです。

 さて、大手4社を含む消費者金融機関に対しては、かつてない逆風が吹き荒れていますが、ここで生き残った会社にとっては、見方によってはチャンスです。マクロ経営環境の激変で、市場から競争相手が一掃されてしまうからです。仮に、この業界にアコムとプロミスしか残らなかったら、この2社にとってはこの逆風がチャンスになるのではないかと思えてなりません。

 市場が4分の1程度に縮小してしまったとしても、この2社の独占ないし寡占状態になったらどうでしょう。生き残った会社にとって、決して悪い話ではないと思います。
 しかも、顧客層も良質になります。総量規制は、裏返せば顧客を選べるということでもありますから。以前のような高利というわけにはいかないですが、祖こそ高い金利で優良な顧客だけを相手に商売できるわけです。おまけに競争相手の大半は市場から退場です。

 ここをどう乗り切るかが正念場ですね。この危機を乗り切れば、生き残りに成功した消費者金融にとっては、意外と明るい未来が待ち受けているかもしれません。危機をチャンスに変えられるかどうか。経営手腕がかかってますね。