1 自営業者・零細企業の資金需要
改正貸金業法の完全施行日は、まだ決まっていませんが、大方の観測では、2010年6月頃であろうというのが一般的です。前倒しで早まる可能性はあります。
ところで、ご存じの通り、改正貸金業の大きな目玉のひとつに、「総量規制」がありますが、この改正のインパクトは、個人の利用者だけではなく、事業主にも及びます。
というのは、自営業者や零細企業の経営者は、銀行からの借入れに限界があるので、いわゆる消費者金融を利用するという実態がありました。また、法人化している場合であっても、消費者金融からの借入れがあると、それが決算書に載ってしまい、銀行からの追加融資が受けられなくなるため、経営者が個人名義で借り入れて、それをさらに会社に貸すという方法で事業の資金調達をしていたという実態があったわけです。
改正貸金業法の総量規制により、消費者金融も「貸したくても貸せない」状況に直面します。
したがって、個人事業主の方や零細企業経営者の方は、今後消費者金融機関から緊急の資金繰りのための借入も困難になるますので、注意が必要です。
2 貸付残高の推移
それだけではありません。
前述の総量規制自体はまだ施行されていませんが、いわゆる消費者の貸金業者に対する過払い金返還請求が貸金業者の資金を枯渇させているという事情があります。
最近の消費者金融大手4社の貸付残高の推移を見てみましょう。
2005年3月期時点で5兆5305億8100万円だったのが、2009年3月期には、3兆6616億4700万円まで減少しています。すなわち、わずか4年間で貸付残高が33.79%も減少したことになります。
ちなみに、これは大手4社全体の話ですが、個別に見ると、特にメガバンクの傘下に入っていない消費者金融機関については、貸付残高の減少率が5割を超えているという情報もあります。
そして、その大きな原因は、過払い金の返還にあると言われています。
そこに加えて、来年の6月に改正貸金業法が完全施行されると、総量規制の直撃により、さらに貸し出しが減少することが見込まれます。
これらの事情を勘案して資金計画を立てる必要があります。