こんにちは。弁護士の森山です。
 さて、今回は、少額訴訟について、書いてみようと思います。

 まず、少額訴訟とは、御存知のとおり、簡易裁判所において訴訟の目的の価額が60万円以下の少額の金銭の支払いの請求を目的とする訴えについて、通常の裁判よりも簡易で迅速な手続きによって権利の実現を図る制度です。

 通常の訴訟であると、相手方の対応の仕方にもよりますが、裁判をおこした後、3~4回書面のやりとりをし(裁判の期日は、1ヶ月に1回程度ですので、これだけですぐに半年ぐらいたってしまいます)、その後和解をどうするか、和解できなければ当事者や証人の尋問をする等して、事件にもよりますが、判決が出るまで一年ぐらいかかるものも結構あります。

 それに比べ、少額訴訟は、少額で複雑困難でない事件について、一般市民が利用しやすいように、証拠は即時に取り調べることができる証拠に限り、原則として1回の期日で審理を終える、直ちに判決が言い渡される、不服申立方法についても控訴を禁止している等、通常の訴訟手続きに比べてずっと迅速な手続きです。

 また、裁判の内容面でも、判決において支払猶予をさだめることができるものとされており、柔軟な手続きです。
 (なお、同一の簡易裁判所で同一の年に10回を超えて少額訴訟を提起することはできないというルールはあります。)

 少額訴訟といえども債務名義にはなりますので、判決を取得すれば強制執行が可能となります。また、和解の話についても、裁判所を交えてできる形になりますから(当事者間でもめているよりは、裁判所という中立の第三者が入ることにより、話し合いがスムーズに進む場合もあります)任意の支払いも期待できるかもしれません。
 そうすると、何らかの形で、債権の回収は可能になります。
 少額訴訟の提起には多少手間はかかりますが、例えば、取引先が60万円以下の債務を支払おうとしない場合等に債権を回収する一方法として使えるかもしれません。

弁護士 森山弘茂