ある程度の事業規模で事業を行っている方であれば、コンプライアンス(法令遵守)の必要性については重々ご承知の上で日々の業務を行っておられることと思います。
 (念のため付言しますと、法令遵守について検討の機会を設けることで、後々の事業展開上のバーゲニング・パワー〔交渉上の優位性〕を強化することができることはもちろん、仮に法的紛争に発展することになったとしても、有利な解決をみられる可能性が大です。したがって、ぜひ、出来うる限りコンプライアンスについても事前にご検討になることをお勧めします)

 仮に紛争等が発生または発生しうる状況になったとき、できるだけこれを法律的見地から妥当な方法による解決を模索するのが望ましいです。(事業規模が大きければ大きいほど、後で違法行為が発覚した場合のブランドイメージの低下・社会的制裁等は大きいものがあります)

 そこで、できうる限りこれを当方にとり有利な解決に導くため、新規事業の導入、社内制度の改革等の際、法律関係調査(関係する法理論ないし学説、行政機関の発布した先例等)を調査することが有用な場合があります。

 そこで、法律関係調査として一般的であり、一般の方にも利用可能である手段等について、以下にご紹介してみます。

1.法理論・学説等について

 通常ご相談になっている弁護士(顧問弁護士)がおられる場合は、まずは(簡単にでも)事業の適法性等について意見を求めておくことが考えられるところでしょう。
 ご自身(社内)で法律関係調査を実施されるご希望の場合には、社内に法律関係図書をそろえる(法改正等を随時アップデートするのが望ましい)他、大学等の機関の図書室を利用することが考えられます。
 近時は、新聞社等が過去の記事に関するデータベース(有料・無料の各場合あり)を利用することも考えられます。

2.司法行政機関の先例等について

 これらについても、上記の一般的な情報収集方法が活用できます。上記に加えて、国会図書館や公共の公文書館(地方自治体にお問い合わせいただけます)を利用されると、一般的に公刊されていない公文書等についても相当程度閲覧が可能です。
 現在発効している法令等であり、近時国会提出ないし発布されているものについては、インターネットにて閲覧できるものがあります。
 以下は、法律関係調査に資すると思われるインターネットサイトのご紹介です。

・法情報総合オンラインサービス(新日本法規株式会社運営):http://www.westlawjapan.com/products/wljp/feature/
・法庫:http://www.houko.com/

 そのほか、当該分野の管轄行政官庁が運営するホームページにアクセスすると情報が得られる場合があります。

 そのほか、米国等では特に盛んな活動として、いわゆるロビー活動(政治家等への働きかけ等政治的な手段を駆使して、業界の法規制自体を有利に変更するための活動)というものもありますが、これはむしろ企業の方々のほうがお詳しいかもしれません。いわゆる政治家など政治的影響力を有する方々との人脈を築くことが有用かと思われます。(しかし、実は日本では政治献金等に関する法規制が(現状では)比較的緩やかですので、むしろ米国などよりはロビー活動を行いやすいという状況にあります。このあたりをどのように判断・決断するかが、事業活動に及ぼす影響も見逃せないものがあるといえます)