回答
賃貸管理をしていると、色々な賃借人が入居することがありますが、時折周囲の環境や様々な出来事に対して過敏すぎる方もいます。
ご相談の方のように、連日クレームを言ってくる方の対応に苦慮し、拘束時間も長くなり、対応を継続することは、管理会社にとっては業務妨害と感じることも止むを得ません。賃貸人であるオーナーにとっても、このような賃借人が入居し続けることは、周囲の賃借人が退去することにもつながりうるため、早期に対応する必要があるといえるでしょう。
管理会社に対する迷惑行為を繰り返したことを理由に賃貸借契約の解除を認めた裁判例として東京地裁平成17年7月22日判決があります。
当該判決においては、マンションに不審者が侵入していると連絡を続けたり、近隣のリフォーム工事について1日に約5時間の抗議を行ったり、無断で防犯カメラを設置したり、些細なことに対して警察を呼ぶといった行為などを理由として、契約の解除が認められています。
賃貸借契約については、信頼関係の破壊がない限り契約の解除が認められませんが、信頼関係は、賃貸人に対する迷惑行為だけではなく、管理会社など賃貸人に代わって業務を行っている者に対する行為によっても破壊されうるということになります。
ご相談の内容によっても、信頼関係の破壊を理由に賃貸借契約の解除が認められる余地があります。ただし、賃貸借契約の解除は、管理会社ではなく、賃貸人自身に行ってもらわなければならないことには留意が必要です。