最近、ある県議員の記者会見が話題になっていますね。
ところで、あの県議員はなぜ記者会見に出ることになったのでしょうか。
ニュースでは、「公金の不明瞭支出」などとテロップが流れていますね。

地方自治法第100条第14項は、政務活動費について規定しています。都道府県や市町村が、各議会の会派又は議員に対し、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するための経費として、政務活動費という名目で金銭を交付することができる、詳細は条例で定める、という内容です。

今回はその使途が「不明瞭」であるため、「調査研究その他の活動」に使われたのかどうかという点について、政治的な追及が及んでいるのでしょう。地方自治法第100条第16項では、議会の議長が政務活動費に関する透明性の確保に努力すると規定されていますし、交付元は税金ですから、明朗会計が求められます。
これが「不明瞭」ではなく、仮に、プライベートな遊興のために費消したということが明らかになったとしましょう。その場合は、「詐欺罪」や「横領罪」が問題になってくる余地があります。

政務活動費の交付方法は、条例で定めるべき内容になっていますが、簡単に思いつくところでは、①一定額を毎回各議員に交付しておいて、不必要な分を返還させる方法と、②事前ないし事後に必要額を申請させて交付する方法とがあるでしょう。

このうち①の場合、議員が政務活動費として渡されたお金を遊興のために支出するということは、お金を渡した地方公共団体の意思に明らかに反するところなので、まずは業務上横領罪が考えられます。あるいは、後に返還する場面で、「○○の活動のため使いました」というような明細が提出されれば、詐欺利得罪が考えられます(なお、地方自治法第100条第15項より、政務活動費に係る収支の報告は、政務活動費を交付された以上は義務的です。)。

また、②の場合、内心では遊興のためにお金をくださいと申請するにもかかわらず、「○○の活動のために必要です」というような嘘をついてお金をもらうわけですから、詐欺罪が考えられます。

「カネの調達力がその政治家の実力」とされた時代は過去の話です。
しかし、今も昔も政治にはカネが必要だというのが、政治家の常識なようです。
私は、これから出てくる政治家が、世間の人々が納得するような政務活動費の使い方をするようになってもらえれば良いと願っております。