さて、実刑判決を受けた受刑者は刑務所や拘置所で刑務作業を行うこととなります。では、実際にどのような作業が矯正施設では行われているのでしょうか。

 まず、男性の矯正施設では溶接作業を行って作品を作成したり、金属加工や木工作業を行っています。女性の矯正施設では洋裁等行っています。細かい作業内容について記載していきます。まずは木工関係の作業では、タンス等の家具類を作っています。2011年3月11日に起きた東日本大震災で被災された方々が入居していた仮設住宅にも置かれました。富山刑務所ではお祭りで実際に使用する御神輿を作っています。相当の技術が必要とされるものですが、年に数十基ほど受注しているようです。他には墓石を作っている施設もあれば、その土地の伝統工芸品を作っている施設もあります。施設によっては矯正施設で勤務する職員が着用する制服や受刑者が普段着用する衣類の製造を行っています(ただし、職員の制服については一昨年新しくなっているので現在も作られているかは不明です。)。受刑者が寝る布団類等も施設で作られていますよ。その他には、安全靴や革靴、バッグまで作成している施設もあります。これらは、矯正展と呼ばれるイベントや、施設によっては常設されている売店等で購入することができます。その他にも不定期ですが刑務作業品即売会が開かれることもありますのでそこで購入することができます。

 最近では、刑務作業とは別にITの普及によりパソコンのスキルを身に付ける必要が増しているため、パソコンで簡単な文章や簡単な表を作成する技能を身に付ける職業訓練というものがあります。職業訓練とは、例えば車の整備士やホームヘルパー、美容師の資格が収容中に取得することができ、刑期を終えて社会復帰した際に、その知識と経験を生かして自立した生活を送ることができるようにするために行われています。ただ、希望すれば全員ができるわけではありません。本人のやる気や適性を見極めた上で実施します。

 また、刑務所の食事のところで説明しましたが、受刑者の食事を作る補助や受刑者の衣類を洗濯する係や、実刑が確定したのに刑務所に移送されずに、拘置所で収容者のお世話をする当所執行受刑者として作業を行う受刑者がいます。

 施設によって刑務作業は違いますが、その地方の特産物や品質も良いものもあり掘出し物も見つかるかもしれません。お近くの施設に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

元矯正職員