本件は、覚醒剤(自己使用)で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受け、その執行猶予中に傷害事件を起こしてしまったという事案です。起訴前の被疑者弁護を行いました。
起訴される前に弁護士に頼むことが如何に重要かが理解してもらえる事例です。
この事件の弁護活動の最大目標は、言うまでもなく、不起訴処分に持ち込むことです。というのは、本件は、執行猶予中の犯行であったため、起訴されれば前刑の覚醒剤事件の執行猶予が取り消されると同時に、本件傷害事件も実刑判決を受け、相当長期服役することを余儀なくされるからです。
もし、勾留満期日までに、つまり起訴されるまでに、示談が成立すれば、起訴を免れ、前刑の覚醒剤事件の執行猶予が取り消されることもありませんし、傷害で処罰されることもありません。
なので、起訴される前に、示談が成立するか否かで、被疑者は天国か地獄の分かれ道なんです。勾留期間は延長も含めると、20日間です。この間に示談をまとめなければなりませんので、時間との勝負です。
本件の犯行態様は少々悪質で、被害者に対して執拗に暴行を加えていたことから、被害感情も強く示談交渉は難行しました。
それでも、勾留満期日の前日に解決金50万円で示談が成立し、不起訴処分を獲得することができました。
加療2週間の傷害でしたので、解決金50万円はやや高めですが、ここで駆け引きをしている時間的余裕などありませんから、50万円で刑務所行きが免れれば、恩の字です。逆に、足下を見られて何百万円もふっかけられなかっただけ、良心的な被害者でした。
なお、被疑者自身には資力がなかったことから、解決金は親族から捻出していただきました。
傷害事件・窃盗・性犯罪のような事件は、起訴前に示談が成立するかどうかで、その後の被疑者の運命が大きく変わりますので、なるべく早く弁護士に頼んでください。