皆さんは、職務質問を受けたことがおありでしょうか。
やましいところが特にないのに職務質問を受けると、犯人と疑われているような気がしてムッとしてしまいますよね。
では、職務質問はどのような場合にされるのでしょうか。職務質問の根拠条文は、警察官職務執行法(警職法)2条1項です。ここで「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる」とされています。
つまり、職務質問をされるときというのは、異常な挙動その他周囲の状況から合理的に判断して、
①その人自身が何らかの犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある場合、
②その人自身が何らかの犯罪を犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由がある場合、
③その人自身が犯人ではないとしても、既に行われた犯罪について情報を持っていると認められる場合、
④その人自身が犯人ではないとしても、これから行われようとする犯罪について情報を持っていると認められる場合、
のいずれかに該当するときです。
たとえば、ひったくり犯が逃げて角を右に曲がった場合、ひったくり犯を追いかけていた警察官が、右の角からトコトコ歩いてきた人に、「今ここを走ってきた人がいませんでしたか。その人はどこへ行きましたか。」と尋ねるような場合、その人自身がひったくり犯であるとは限らないけれども、少なくとも、その人からひったくり犯の逃げた方向に関する情報を得られると通常考えられますから、③による職務質問として適法といえます。
なお、この要件をみたさない質問や、要件はみたすけれども警察官の行為が質問の域を超えていたり、あまりにも長い時間その場にとどめ置いたりして行う質問は、違法となり得ます。
何も心当たりがないのに急に呼び止められ、長時間質問をされ続けるなど、ちょっとこの職務質問はおかしいんじゃないのと思うようなときは、「私はどういう理由で今質問をされているのですか。」などと逆に質問してみましょう。それで正当な答えが返ってこなければ、職務質問はそもそも強制力のない行政警察活動ですので、立ち去っても構いません。
なお、全くの余談ですが、Googleのストリートビューで、職務質問をされている人が映っている場所があるそうです。それがどこだったかは、残念ながら、失念してしまいました・・・