被疑者段階で、なんとか公判請求されまいと弁護活動に尽力したとしても、結果的に検察官から公判請求されてしまうことも多いです。公判請求されると、多くは拘置所に身柄を移され、そのまま勾留状態が継続されます。
公判請求後の勾留の期間は、公訴の提起があった日から2か月であり、必要に応じて1か月ごとに更新されます。
ただ、基本的には判決が下るまで勾留は継続すると考えていいでしょう。
有罪の判決が下るまでは被告人は無罪推定をうけるというのが刑事訴訟における大原則であり、本来一般人と同じように社会で生活をしながら公判に出頭するべきです。しかし、被告人が逃亡してしまったら公判手続きは進めることはできませんし、罪証隠滅等を野放しにしてしまったら、適正な裁判は見込めなくなってしまいます。そのため、法は起訴後長期間の被告人の勾留を認めているのです。
この長期間の勾留に対する防御手段は基本的に保釈しかありません。保釈には、権利保釈(刑訴法89条)、裁量保釈(同法90条)、義務的保釈(同法91条)がありますが、ここでは詳述は避けます。
弁護人は上記のいずれか、或いは2つ以上を併行して保釈を申請し、それぞれに必要な要件の存在を主張します。例えば、罪証隠滅や逃亡の恐れが無い等の主張です。
これらの要件が認められると考えられる場合であっても、法律上絶対に欠かせない保釈の条件が保釈保証金の納付(同法93条1項)です。これは、最終的には被告人に返還されるべきものですが、被告人が罪証隠滅等の行為を犯した場合には、経済的な制裁として、納付した保釈保証金を没収する仕組みとなっています。
とにもかくにも、保釈には保釈保証金の納付が必要です。現在、保釈保証金の相場は、少なくとも150万円から200万円などと言われています。
保釈をするための要件は揃っているのに、保釈保証金だけが用意できない・・・なんて状況もすくなくありません。
こんな場合には、保釈保証金の立替制度があります。
一般社団法人日本保釈支援協会が当該立替業務を行っております。
申込者は、被告人本人ではなく被告人の関係者です。この関係者の範囲は広く、友人や恋人にまで及びます。
総合的な審査はありますが、関係者の経済的信用度というよりも、被告人の前科前歴や本件事件の内容等が重視されるようです。関係者が学生やアルバイトでも立替実績があります。
申し込みは起訴前からでも可能ですので、是非弁護人と早くから立替制度の利用について話し合い、準備を進めることをお勧めいたします。
弁護士 吉田公紀