今日は、被疑者が逮捕・勾留されてからの防御方針をお話します。
前回ブログで書いた通り、まずは勾留に対する準抗告によって即座の身体解放を求めます。
同時に採るべき防御活動は、迫りくる検察官による公判請求を回避する活動です。公判というのは、通常の公開の法廷で裁判をすることです。被告人や証人が証言台に立って証言をする等、ざっくりと言ってしまえば、公判は結構な大ごとなのです。
また、勾留中の被疑者が公判請求をされれば、起訴後も今までの勾留がそのまま継続することになります。公判請求され、保釈されずに長期間勾留が継続すれば、被告人の仕事や人間関係にも甚大な影響がでることは必至でしょう。
これに対して、検察官が、被疑者の公判請求をせず、不起訴処分や略式請求を選択すれば、上で述べたような公判は行われず、さらに被疑者の身体拘束は解かれます。公判請求されるか否かでは、被疑者の負担は雲泥の差があります。ですので、弁護人は被疑者が公判請求されないよう防御活動をすることが、被疑者段階の最大のテーマとなります。
具体的にどのような活動をしていくのかというと、ケースバイケースではありますが、自白事件で被害者がいる事件ですと、やはり示談交渉がメインとなります。さらに、被疑者が釈放された後の環境調整について被疑者の就労先やご家族と打ち合わせをし、上申書を作成することもあります。事件や被疑者の個別的事情により様々です。そして、不起訴や略式請求にすべき証拠を集めて、事件の担当検察官に対する意見書を作成し、証拠とともに提出します。場合によっては担当検察官と直接面接して意見を伝えることもあります。
身体拘束をされている被疑者がこのような活動をすることは極めて困難です。被疑者勾留の時間も限られています。ですので、可能な限り早期に弁護人に上記のような活動をしてもらえるよう訴えかけましょう。
弁護士 吉田公紀