「高井戸署の警察官が万引き事件への関与を否認する当時中学3年生の少年に対し、『認めなければ高校へは行かせない』、『否認すれば牢屋に入れる』等と暴言を吐き、自白を強要して万引きの関与を認める反省文を書かせたが、関与の事実は確認できなかった」

 この事件はまだ皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか。私にとっても、警察の違法捜査が白日の下に晒された非常に印象深い事件の一つですが、このような警察官による自白の強要は、昔ほどではなくなりましたが、まだまだ根強いと考えています。

 自白とは、自己の犯罪事実の全部または主要な一部を認める被告人(被疑者)の供述のことをいい、自分で犯罪をしたと認める供述ですからその証拠価値も非常に高いものとなっています。だからこそ、警察や検察といった捜査機関も何とかして自白を取得しようと力が入るのです。
 しかし、高井戸署の事件のように、脅されて自白した場合、自白した人は犯人として有罪にされてしまうのでしょうか。本日は、刑事裁判における自白の扱い方についてお話しします。