勾留された被疑者(捜査段階)の身柄解放を求める手続きとして、勾留決定に対する準抗告を行うことができますが、保釈請求は出来ません。保釈は、起訴された被告人にのみ認められています。保釈請求は、「勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹」も保釈請求が行うことができます(刑事訴訟法88条第1項)。
 今回は、保釈の流れについてお話します。

 まず、逮捕勾留されている被疑者が、起訴されれば、被疑者自身に起訴状が送達されます(刑事訴訟法176条第1項)。弁護人は、担当検察官とのやり取りや、勾留期間の満了日などから、いつ起訴されるかは把握することができますが、実際に起訴されたことやどういった犯罪事実で起訴されたのか(公訴事実)は、被疑者(被告人)に接見して確認します。裁判所から起訴状の写しを貰うのでは遅くなってしまいます。

 起訴が確認できれば、保釈請求を行います。具体的には、保釈請求書を起案し、裁判所へ提出します。
 その後、裁判所が審理し、保釈をみとめるかどうか決めます。その審理には1~3日程度要します。土日は審理しないので、金曜に保釈請求したとしても、実際に判断がされるのは、週明けになります。
 裁判所が保釈決定をする場合、事前に裁判所から連絡があり、保釈保証金の金額、いつ用意できるのか、制限住居の場所などの確認がされます。

 保釈が認められれば、保釈保証金を裁判所へ納めます。すると、裁判所から保釈保証金が払われたことが検察官へ伝えられ、検察官から警察へ連絡が届き保釈されます。この間、数時間という場合が多いです。保釈の際に、迎えに行った方がいいのかと聞かれることが多いですが、手続き上は必須ではないので、迎えに行かなくても被告人は自分の足で帰ってきます。ただ、私は、やむを得ない場合を除いて、身元引受人に迎えに行ってもらうようにしています。
 保釈保証金は、保釈条件を守っている限り、裁判が終われば返還されます。

 保釈は、次々に手続きが進むので、裁判が立て込んでいて対応できないとすれば、その分保釈が遅れてしまいますので、熱心に対応してくれる弁護士さんにお願いすることは早期保釈には重要となります。