1.総論

 「宣誓・・・・良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、また、何事も付け加えないことを誓います」

 裁判で証人尋問を傍聴した経験をお持ちの方は、尋問前に上記のような宣誓シーンがあったのを覚えておられるでしょうか。偽証罪は、法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をした場合に成立します(刑法169条)。偽証罪の保護法益は、国家の審判作用の適正と解されています。

2.法律により宣誓した証人

 法律による宣誓とは、宣誓する根拠が法律又は法律より委任された命令において規定されていることをいいます。

 通常、証人尋問の際の宣誓は、尋問前に行われますが、民事訴訟においては特別の事由がある場合は、尋問後に行われることもあります(民訴規則112条1項但書)。判例は、尋問後に宣誓がなされる場合でも偽証罪は成立しうるという立場を採っています(大判明治45年7月23日)。

3.虚偽の陳述とは

 「虚偽の陳述」の意義については、証人の記憶に反する供述と解する主観説と、客観的事実に反する供述と解する客観説の間で争いがありますが、判例は、主観説を採っています(大判大正3年4月29日等)。したがって、証言内容が真実に一致していたとしても、証人が殊更に記憶に反する陳述を行った場合には、偽証罪が成立します。

 また、偽証罪は国家の審判作用の適正性を害する抽象的危険犯と考えられており、虚偽の陳述が裁判の結果に影響を有するか否かは、偽証罪の成否に影響しないとされています(大判明治43年10月21日)。