こんにちは。先日、元県議、N被告の詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使罪の公判がありましたがこの件について少しお話しします。

 N被告は昨年11月の初公判を欠席しました。被告人が出席しなくても開廷できる裁判もあるのですが(例えば、50万円以下の罰金または科料にあたる事件(刑事訴訟法第284条))本件の場合はN被告が公判期日に出頭しないと開廷することができませんでした(同法第286条)。

 そして、先月26日の公判にN被告が再度欠席する恐れがあったため、裁判所はN被告を「勾引」(同法第58条2号)したのです。

 ここで聞きなれない「勾引」についてのお話をします。

 まず、裁判所は第1回公判期日への出頭につき相当の猶予期間を置いて被告人を召喚することができ、(同法第57条)召喚状を発してこれをするのですが(同法62条)、被告人が正当な理由なく、召喚に応じない時、又は応じないおそれがあるとき、裁判所は被告人を「勾引」することができるのです(同法58条2号)。

 勾引は身体拘束になります。基本的に勾引状は検察官の指揮によって検察事務官又は司法警察員が執行します(同法70条)。そして被告人は指定された裁判所その他の場所に引致される(同法73条1項)のですが、必要がある場合には刑事施設に留置されることもあります(同法75条)。

 このようにして「勾引」された被告人ですが、引致されたときから24時間以内に釈放されます(同法59条)。

 N被告の場合、前回マスコミに出くわしパニックになったという理由で公判に出廷しなかったのですが、今回も同じ理由で欠席する可能性が高く、「正当な理由なく」「召喚に応じないおそれがある」と判断されたようですね。