刑事事件の被疑者とされると、シロかクロかはともかく、取り調べのために逮捕・勾留されることがあります。(被告人の場合も、公判出頭の確保のため、やはり勾留されることがあります。)このとき、勾留は負担が大きいため、早期の身柄解放を目指して諸々の活動を行う必要性がありますし、そのための方法も用意されています。
ところで、逮捕・勾留された時には、それが適当か不当かはともかくとして、身柄は拘束されます。留置場に入れられた後でも、必要な物はいろいろと出てきますが、身柄を拘束された身ではその辺のコンビニに買いに行くわけにもいきません。そのため、身内の方や同僚などの知人に、必要な物を差し入れてもらう必要性が出てきます。
差し入れは、特に生活上必要な衣類などは、面会ができない場合でも受け付けてもらえます。
弁護士の仕事をしていると、必要な差し入れ、喜ばれる差し入れについてなんとなく感じることもあります。逮捕直後には、とりあえず着替えやタオルなどの要望が強いです。(留置場の中は決して万全快適な空調状況でないのか、冬場や高齢者の場合には、「暖かい」着替えという追加指定もよくあります。)単に、着替えがないのは衛生上よろしくないというほか、現場検分などで外に行くこともある中で着た切りはどうかとの点もあり、ジャージなどを急ぎ差し入れることが多いようです。そのほか、生活必需品の小物などは、署内で「販売」されているため、一定の現金もすぐに差し入れた方がいいでしょう。
ある程度時間が経って状況が落ち着くと、雑誌なんかの差し入れを希望することがあるようです。別に、マンガなどの娯楽本を差し入れても怒られるわけではないので、気の利いた本を差し入れてやる人もいます。また、家族の手紙を差し入れてやると、本人も勇気づけられるでしょう。
なお、どのような物でも差し入れることができるわけではありません。刃物などの凶器になりうるものは、当然ご法度です。この趣旨から、筆記用具も断られます。また、ひも状の物など、自殺に用いることができそうなものも受け付けてもらえません。服やタオルを差し入れる際には、ひもがついていないか、長いタオルでないかなど、気を配った方がいいでしょう。
変わったところでは、食料品や石鹸、化粧品などの差し入れを断られることがありますが、これらは中に不適切なものが隠されていないかをチェックするのに向いていないというのが理由でしょうか。こういったものは、現金を差し入れておいて、署内で本人に購入させた方がいいでしょう。
あと、接見禁止の処分がとられた場合には、手紙など通信の差し入れは禁止されることがほとんどです。
その他、各警察署の留置場や、拘置所で、差し入れが認められないものに微妙な違いがあるようですので、事前に問い合わせておくと安心でしょう。
旅行先など遠方で逮捕された時は、そこの留置施設に入ることとなります。このような場合には、家族や知人が差し入れをしようにも遠路出かけていかなければなりませんが、入っている本人は身動きが取れないので、早めに行ってあげた方がいいと思います。