依頼者は、ご友人(Aさんとします。)と一緒に相談に来られました。

依頼者が相談に来られたのは、一審で、懲役刑の実刑判決を受けて、まもなく、控訴審の判決期日を迎えるという時期でした。

依頼者の前歴や犯罪の性質などから、示談ができれば執行猶予がつくという判断は容易でした。

問題は、示談の見込みでした。

相談に来られた時点で、被害者が満足する示談金を用意できる可能性は0でした。

「示談は無理です。」 私は、そう答えるしかありませんでした。

「やるだけのことをやらないと後悔する。」 Aさんが、そう発言されました。

数日後、依頼者が用意できた現金は、Aさんが用意してくれたものを含めても被害者が満足する示談金に数百万円足りませんでした。依頼者の必死の努力もむなしく、判決期日まで依頼者が用意できる現金は増えませんでした。

相談から約2週間後・・・依頼者に執行猶予つきの判決が下されました。

Aさんがいなければ、私はおそらく示談交渉を受任していません。

Aさんがいなければ、示談は絶対に成立していません。