皆さんこんにちは。今日のテーマは「情状鑑定」です。
弁護方針には、情状弁護といって、検察官主張の公訴事実を認めたうえで、斟酌すべき事情があるので、量刑を軽くしてほしい、執行猶予を付してほしい、という主張を行っていく場合があります。
情状弁護の手段としては、犯行態様が軽微である、未遂である、自首をしている、解雇や退学等の社会的制裁を受けている、被害者と示談ができている等の事情を主張したり、情状証人を呼んで尋問をするといったものが定番です。情状鑑定は、これらの手段に比してポピュラーではありませんが、被告人の家庭環境に複雑な問題がある事案や、社会に衝撃を与えた事案等においてしばしば実施され、裁判所の判断に影響を与えることがあります。
情状鑑定の目的は、犯行経緯の解明、あるいは今後の被告人の更生に大別されます。
前者の例としては、犯行に至ったことはやむを得ないという主張を行うために、成長過程において虐待を受けた被告人が、同様に虐待を行ったような場合に、被告人の心理を解析するというケースが考えられます。
後者の例としては、薬物事犯において反省、更生を示すうえで、今後薬物を断つためにどういった行動をとるのが被告人にとって良いかという問題意識の解決のために鑑定を行うというケースが考えられます。
情状鑑定の結果により、ダイレクトに裁判所が被告人の量刑が軽くなるというわけでは必ずしもありませんが、弁護の手段の一つとして有用ですし、被告人の反省の足掛かりとなるなどの効果も期待できます。
弁護士 上辻遥