先日のニュースですが、あるインターネット動画投稿サイトがわいせつな動画をライブ配信したとして、公然わいせつ幇助の被疑事実で、大阪のインターネット関連会社社屋について捜索差押が行われました。これまで同サイトは、「本社は海外なので日本の法律では裁けない。」と主張していたようですが、どうやら実質的に本社の機能を果たしていたのは日本の大阪だったようです。

公然わいせつ罪自体は、わいせつな動画の投稿者について成立します。幇助を受けて犯行の本体部分を行った者のことを正犯と言います。
幇助とは、正犯を助けること・容易にすることを言い、正犯に道具を貸したり、情報を提供したり、「男ならやるときはやるもんだ!」と激励して犯意を強めたりすることも広く含みます。

先日の件については、正犯がわいせつな動画を公然と広めることを、配信システムの提供によって容易にしたということです。

さて、今回は少し意外な切り口からこのニュースについて検討します。 
この件に関して、幇助の罪に問われているのは、サイトの運営会社(大阪)でしょうか、運営会社の社長たちでしょうか。

幇助犯には、正犯の刑が半分にされて科されます(刑法62条1項、63条)。
公然わいせつの正犯の刑は、1か月~6か月の懲役もしくは罰金1万円~30万円、又は拘留もしくは科料、となっています(刑法174条、12条1項、15条)。
これを半分にすると、公然わいせつ幇助の刑は、15日~3か月の懲役もしくは罰金5000円~15万円、又は拘留もしくは科料、となります(刑法63条、174条、14条2項、15条但書)。

仮に、正犯である動画投稿者について、起訴され有罪と認められ、懲役6か月が科されたとしましょう。
また、配信システムを提供して公然わいせつを助けたのがサイトの運営会社だとして、懲役3か月が科されたとしましょう。しかし・・・サイトの運営会社は、どうやって懲役を受ければいいのでしょうか。

懲役の内容は様々ですが、受刑者は社会に復帰できるような技術を身に着けながら就役しています。たとえば織物を織ったり溶接をしたりということですが、会社そのものは人として形があるものではないので、そのような就役は不可能です。

刑法上の罪は、基本的に、人(法人に対して、「自然人」と言います。)を対象としています。そのため、著作権法や会社法など、特に会社を処罰する規定を設けた法律の規定にあたらない限り、会社に犯罪は成立しないというのが原則です。

したがって、今回の罪が公然わいせつ幇助という刑法上の罪であることから、幇助の罪に問われているのは運営会社の社長たちである、と考えられます。

最近は動画やつぶやきの投稿によって、投稿者の方に業務妨害罪や著作権法違反の罪が騒がれていますね。今回は投稿のシステムを運営していた会社の方について問題になっためずらしい事案ですので、私も注目しています。