弁護士 金﨑 浩之 

 ちょっと古いのですが、日弁連が発行しているLIBRAという雑誌の2006年5月号に、「弁護士に対する苦情と非弁提携」という特集記事が掲載されているのを見つけましたので、紹介したいと思います。

 非弁提携は、弁護士にとって、それ自体、犯罪行為になるとともに(弁護士法27条違反)、弁護士会の懲戒処分の実務を見ても、業務停止以上なので、とても重い処分を受けます。

 しかし、非弁提携は、弁護士が襟を正していれば必ず防げるというものでもないらしく、知らないうちに非弁業者と提携してしまった、なんてことも起こりうるそうです。

 また、最近は、弁護士の過当競争が始まり、経営不振に陥っている弁護士や法律事務所も増えているようなので、非弁提携の誘惑にかられる危険もあると思います。

 そこで、そのような事態を避けるために、この特集記事を参考に、非弁提携に対する対策を考えてみたいと思います。

 まず第1に、非弁提携に該当するか否かのメルクマールとして、その判断に際する重要な要素は何か。

 この特集記事は、次の3つの要素を掲げています。

1.お金の流れ
 弁護士がお金の流れを把握できているかどうか。

2.方針の決定
 弁護士が方針を決定しているかどうか。

3.方針決定の妥当性
 方針決定の結果に不当性はないか。

1については、非弁提携の場合には、非弁業者が財布のひもを握っているため、弁護士はお金の流れを把握できないそうです。

2について、非弁提携では、弁護士ではなく、非弁業者が方針を決定している傾向にあるようです。

3については少々分かりにくいですが、2と関連します。弁護士ではなく、非弁業者が方針決定を行うと、法的手続きが煩雑な民事再生よりも任意整理を好む方針決定を下す傾向にあったりします。
 そうすると、依頼者のためではなく、非弁業者にとってやりやすい方針が選ばれてしまいます。つまり、非弁業者の関与の下、妥当性を欠く方針決定がなされてしまうということです。

 次に、非弁提携の勧誘手口(勧誘キーワード)についてです。
 これも、前記特集記事が分かりやすかったので紹介します。

1 「自分たちは十分なノウハウを持っている。」
2 「先生は、裁判所に行ったり、相談者との面接を短時間するだけでよく、後は全部自分たちがします。」
3 「…の収入を保証します。」

 この勧誘キーワードのどれかひとつでもあったら、非弁業者であることを疑うべきであると、その特集は述べています。

 昔は、債務整理の分野が非弁提携の温床となっていたのですが、最近では、交通事故の非弁提携モデルも出現していると聞きます。過払いバブルがはじけた今、これからは交通事故の分野がおいしいということなのでしょう。

 弁護士の皆さん、気をつけてくださいね。