弁護士 金﨑 浩之 

 連休明けの今日は朝から名古屋出張でした。

 出張といっても、日帰りですけど。

 今回の出張目的は、受任した医療事件の医療調査のためです。具体的には、受任したその医療事件が医療過誤になりうるか、立証の難易度も踏まえた上で、専門家の医師の助言を得るためです。

 朝8時半に起きて10時の新幹線です。

 ボクは職場から徒歩5分以内のところに住んでいるので、こういう時は普段より早起きしなければならず、ちょっとしんどいですよね。
 案の定ぎりぎりの時間になり、新幹線も駆け込み乗車でした(笑)。

 11時半頃に名古屋駅に到着。そこで、うちの医療事業部の弁護士と待ち合わせて、一緒に医師に会いに行きました。

 守秘義務の関係であまり詳細は書けませんが、その事件は、患者さんがある手術を受けたところ、左腕の神経が麻痺してしまい動かなくなってしまったということでした。

 そもそもその神経麻痺は手術が原因なのか、仮に手術が原因だとすると、そのような事態を未然に防げなかったのか、等々が問題となっていました。

 その医師の見立てでは、「虚血性神経症」ではないか、ということで、英語の文献を見せられました。

 外科の専門医の間でもあまり知られておらず、かつ臨床現場で遭遇することも珍しいということでした。
 ということで、この疾患に関して日本語でしっかりと書かれている文献がなく、英語の文献で説明されたんです。

 この病気は、一時的な虚血で神経が麻痺してしまうのですが、その後血流が再開しても、神経麻痺が非可逆的になったしまう。つまり、元に戻らない、ということです。でも、血流が途中で再開するため、筋肉組織の壊死は免れる。だから、経過観察していれば元に戻るのではないか、と医師も思ってしまいがちになるそうです。

 痛みや痺れなどの症状も、通常の術後に見られる症状と重なるため、虚血性神経症が原因だということにも気づきにくい。
 しかも、この疾患は発症例もすくなく、臨床現場で実際に経験した医師も少ないそうです。

 そうすると、この疾患を念頭に置いて手術することや、この疾患を疑って行動することが標準的な医療水準と言えるのか、疑問に思えてきました。

 ということで、久しぶりに医学の勉強になり、有意義な出張でした。

 名古屋に支部事務所を開設したこともまり、また医療事件の医療調査の関係でも、今後名古屋出張は増えると思います。

 益々忙しくなるなあ。