スポーツ選手が試合中に突然倒れて病院に運ばれ、死亡するという事故を時折テレビのニュースなどで見かけます。
 比較的最近だと、サッカーの選手で急性心筋梗塞で急死するという事故がありましたよね。

 ボクもボクシングをやっているし、年齢が年齢なんで、心臓突然死は気になります。

 最近、海老根東雄さんという心臓外科医のお医者さんが書いた「スポーツで心臓が止まる時」という本を読みました。
 大変参考になる情報がたくさん書いてあったので、このブログの読者の皆さんと共有したいと思います。

 この著者が東京都監察医務院で解剖された突然死症例のデータを分析したところ、とても興味深いことが分かりました。

 意外だったのは、突然死全体のうち、運動中のものは0.5%に過ぎなかったことです。
 実は、一番多いのは就寝中で、その次は入浴中だそうです。突然死の多くは、日常生活の中で起こっているんですね。

 で、その運動中の突然死0.5%の内訳を、著者の先生が運動種目別に分析してくれているんですが、これも大変興味深い。どんな運動が危険なのか、という問題意識ですね。
 一番多かったのは、ジョギング・マラソンなどの有酸素系運動で、28%を占めていたそうです。
 ちなみに、ボクがやっているボクシングなどの格闘技は、2番目に少なくて、6%だとか。
 このように見ると、必ずしも激しい運動のほうが心臓に大きな負荷がかかって突然死を招きやすいとは限らないかに見えますね。

 でも、著者の先生も示唆しておりましたが、この数字を文字通り比較してしまうと、ミスリードされてしまいます。
 というのは、どのような種目の運動が危険かは、その競技人口との関係で分析する必要があるからです。上の数字は、運動種目毎の競技人口は全く反映されていません。

 そうすると、ジョギングやマラソンの競技人口の多さは想像に難くないですから、突然死の中で占める割合が一番多かったのは当然とも言えます。ボクシングのような格闘技が二番目に少ないというのも意外ではありません。

 でも、実はスポーツ毎の正確な競技人口って、把握するのが困難なんですね。プロやアマの選手を把握するまではできるかもしれませんが、趣味でやっている人まで含めると、想像の域をでません。
 したがって、運動種目毎のリスクは、やはり正確には算出しにくいようです。

 それでも、この情報から言えることは、激しい運動でなければ心臓への負担も少ないと決めつけるのは危険だということです。
 死亡率はともかく、実際に運動関連の突然死の数はジョギングやマラソンが一番多かったわけですから。

 この突然死のリスクを知りたいという人は、病院で運動負荷試験による心電図をとってもらって、医師からアドバイスをもらうことをお薦めします。無痛性の狭心症もあるそうなので、気になる人は検査してもらうとよいと思います。