皆さん、こんにちは。
今回は、主婦等の家事従事者の休業損害についてみてみたいと思います。
家事従事者とは、主婦に限らず、現に主として家事労働に従事する者をいい、性別・年齢は問いません。
現実に主として家事労働に従事する者であれば、女性のみならず、男性も家事従事者に含まれます。
家事従事者が交通事故の負傷により休養した場合にも、その休業損害の賠償責任が認められています(最判昭和50年7月8日)。
そして、実務上、家事従事者の損害の算定については、原則として賃金センサスの女子平均賃金をもって損害額が算定されます。
なお、男子の家事従事者についても、女子労働者の賃金センサスにより算定されます。
パートタイマー等の兼業主婦の場合については、現実収入が女子労働者の平均賃金を超えるときは現実収入を基礎とし、現実収入が女子労働者の平均賃金以下のときは平均賃金基礎として、それぞれ算定されるというのが裁判例の傾向です。
なお、高齢主婦の場合には、年齢別の賃金センサスにより算定し、また、賃金センサス額の7割、8割に減額することがあります。
家事代替労働、すなわち、主婦が、炊事、洗濯、掃除、子供の養育等について、他人を使用した場合の支出については、その必要性が認められる限り、支出した金額について、原則として休業損害が認められます。①職業的な者を雇い入れる場合、②親族、知人等の非職業的な者に頼んで謝礼を支払う場合が考えられますが、ともに原則として支出した賃金または謝礼について認められます。
そして、代替労働力の支出と休業損害の二重取りは認められないので、代替労働力の支出と主婦本人について計算した休業損害とのいずれか高い方の限度で、損害賠償を認めることになります。
弁護士 髙井健一