脳脊髄液減少症と呼ぶことが多いようですが、脳脊髄液減少症という病態事態はあるとしても臨床的に脳脊髄液の量を測定できず、画像診断可能な病名としては脳脊髄液漏出症と呼ぶことになります。
脳脊髄液漏出症とは、体内で脳脊髄液が漏れ髄液圧がさがることにより、頭痛、頸部痛、めまい、耳鳴り、難聴、嘔吐等の症状が現れる疾患のことをいうのですが、脳脊髄液が漏れ出ていることは、脳槽シンチグラフィやMRミエログラフィ、CTミエログラフィなどの画像により診断されます。
髄液圧が下がる疾患は、低髄液圧症候群と呼ばれ、頭部MRIや髄液圧検査で診断ができます。
脳脊髄液漏出症と低髄液圧症候群とは密接に関連する疾患であり、低髄液圧症候群は脳脊髄液漏出症の関節所見になります。
脳脊髄液漏出症は、外傷により生じる疾患であり頸椎捻挫とよく似た症状であることから、頸椎捻挫との区別が容易ではありません。
平成23年に厚生労働省から脳脊髄液漏出症の画像判定及び診断基準が公表されたものの、各画像診断結果を「確定」「確実」「強疑」「疑」に分け、それぞれの診断結果を総合してさらに「確定」「確実」「強疑」「疑」に振り分ける内容になっており複雑な診断となっており確定診断が難しい疾患であることには変わりがありません。決して、簡単に認められる疾患ではないことを理解することが重要です。 診断や治療(ブラッドパッチ等)ができる医師、医療機関は限られており、ホームページで公表している自治体もありますので、確認されてはどうでしょうか。
むち打ちとして処理されてきた症状であったうえ、裁判所も容易に認めてこなかった疾患であることから保険会社も容易に認めません。
裁判例を見てみると、事故の衝撃の大きさ、厚生労働省の脳脊髄漏出症のみならず、低髄液圧症の診断基準(起立性頭痛の有無など)をも満たすことを重視しているようです。単なる頭痛で片づけずに立ち上がる時に頭痛が発生することを医師に伝え診断書やカルテ等の形に残るようにしておくことが重要になります。
今後、裁判で多く認められるようになれば保険会社の対応も変わってくるとは思いますが、現状、被害者としては健康保険を利用して負担額を抑えながら保険会社と交渉を続けることになります。