こんにちは。今日は交通事故と精神障害にまつわる問題についてお話ししたいと思います。

 交通事故にあわれた方が、事故の衝撃からくる恐怖驚愕、お怪我や後遺障害による苦痛、それに伴う将来の不安を抱えそのストレスから精神障害に至ることがあります。このような場合に、加害者にそのすべてを賠償させることができるのかという問題があります。

1 PTSDについて

 今回は交通事故後の精神障害のうち、脳の器質的損傷を伴わない、非器質性精神障害のみを取り上げます。そのうちの心的外傷後ストレス障害いわゆるPTSDについて簡単にお話しします。

 PTSDは強い外傷的なストレス因子となるものを見たりあるいは巻き込まれたりしたのちに起こる症状群で、そのような経験に恐怖や絶望感をもって反応し、出来事を持続的に何度も体験し思い出すことをできるだけ避けようとする精神障害のことを言います。

 例えば、事故にあった恐怖から事故後数週間後に、フラッシュバックがあったり、事故を思い出すことを避けようとするあまり、現実逃避や現実に対し無感覚になるという症状が現れます。PTSDかどうかの判断は、外傷が存在しないため難しいのですが、外傷的出来事の有無、発現する症状等から判断されるのです。

2 交通事故との関係について

 仮にPTSDと診断されたとして、その損害の全てあるいは一部でも加害者である相手に対し賠償請求できるのかというのが次の問題です。
 交通事故による損害賠償を加害者に対し請求するには、加害行為とPTSDとの間の因果関係が認められなければなりません。

 交通事故後に引き起こされる精神障害の場合、精神機能の障害の存在を客観的に確認するのが難しいため、その原因を明らかにすること自体が難しいという問題があります。加えて、精神障害が事故とは無関係のストレスを原因として発症することもありますし、発症までの潜伏期間の問題もあり、事故に起因する障害なのか加害行為とPTSDとの間の因果関係が争われることが多いのです。

3 裁判実務について

 裁判では、因果関係または割合的解決において「心因」が減額要素として用いられることがあります。事故の原因力以外の要因が身体損傷による損害に競合しているような場合「心因」と呼ばれることがあります。

 裁判においては、加害行為とPTSDによる損害との間の因果関係が否定されたり、因果関係が認められても素因減額といって割合的にしか因果関係が認められないケースもあります。しかし、交通事故による傷害を苦にしてうつ病を発症して最終的に自殺に至った事例で、自殺による死亡と事故との因果関係が争いになり、ある程度の損害が認められた例は多数あります。

 交通事故後のPTSDに悩まれているというかたは、一度我々にご相談ください。