交通事故の治療として認められるのは、必要かつ相当な範囲に限られ、必要性、相当性がない時は、過剰診療、高額診療として否定されてしまうことがあります。

 たとえば、治療のために入院が必要だとしても、治療が進み外泊・外出できる程度に回復していたような場合に、入院を継続した場合には入院治療の必要性、相当性がないとして入院治療費の大部分が認められないことがあり得ます。

 最近は、後遺障害等級認定(特にムチウチの場合の14級)において、通院期間・頻度が重要であるといわれているようで、ほとんど毎日通院する被害者がおられます。

 確かに、通院日数が後遺障害等級認定に積極的な要素であることは間違いないでしょう。

 しかし、そもそも、本当に必要な治療と主治医が判断しているのか、柔道整復師による施術・鍼灸等について主治医が必要と判断しているのか、特に過失割合が問題になるような場合には特に注意が必要です。

 たとえば、過失割合が30%認められる場合に、頚部捻挫の治療のために整骨院へせっせと毎日通い、後遺障害等級14級を認定してもらおうしたところ、不認定となったとしたらどうなるでしょうか。

 主治医の指示、病院での傷病名に応じた整骨院での施術証明書があり、なんとか治療費として認められたとして、安心はできません。

 頻繁に整骨院へ通ったために治療費は増加しており、自身の過失割合30%相当額は自己負担となります。せっかく通院慰謝料を裁判基準で認められても、そこから自身の過失割合30%分が引かれてしまうのです。

 後遺障害等級の認定がされれば、大した負担ではないでしょうが、不認定であれば大きな負担となってしまいます。

 以上のことから考えて、交通事故被害者だといえども、事案に応じてですが治療費を増加させないよう細心の注意が必要となります。