こんにちは。先日、友人から「ビル火災でその建物の看板が落下した事故でもし私がけがしたとき、父親がかけている自動車保険から保険金はもらえるの?」と聞かれました。普段あまり考えたことがなかったのですが、この答えを今日はここでご紹介したいと思います。

1 歩行中の事故で、保険金が支払われる場合

 歩行中の事故で、自動車保険の保険金の請求ができますか?と聞かれたら「基本的に自動車保険の補償対象とはなりません。」と答えます。

 しかし、人身傷害保険を付けている場合には、歩行中の事故であるにもかかわらず保険金が請求できる場合があるのです。次の場合には歩行中の事故による記名被保険者、そのご家族の方の死傷は人身傷害補償保険の補償対象となります。

① 「人身傷害補償保険」を付けている契約で、その歩行中の事故の相手が自動車である場合、
② 「人身傷害の交通事故危険補償特約」を付けている契約で、その歩行中の事故が以下(1)~(3)のいずれかに該当する場合 です。

(1)電車やバスなどの交通乗用具・自動車に乗っている際の歩行中の事故

(2)駅構内などの交通乗用具の乗降場敷地内を歩行中の場合

(3)道路を歩行中で次のことによる傷害の場合 ・建物等が倒れてきたことによるものや建物等からの落下物

  • がけ崩れや土砂崩れや落石によるもの
  • 火災や爆発によるもの

 例えば、電車に乗っていてに急ブレーキによりケガをした、電車に急ぐあまり駅構内の階段でころんでケガをした、道路通行中に工事現場の木材が落ちてきてケガをした、デパート火災でケガをしたというような場合です。

2 けがをした人が記名被保険者ではないが、保険金が支払われる場合

 保険金請求権者(保険金の請求ができる人)は、記名被保険者とその配偶者はもちろんですが、それに加えてこれらのものと同居の親族及び別居の未婚の子も含まれます。

3 「ビル火災でその建物の看板が落下した事故でもし私がけがしたとき、父親がかけている自動車保険から保険金はもらえるの?」の答え

 私の友人からの質問の答えは、友人のお父様が人身傷害交通事故危険補償特約を付けていて、友人がお父様と同居しているか、別居で未婚であれば「イエス」となりますね。

 自動車保険は、約款が細かくなかなか読む機会も少ないので、意外な場合に保険が使えることがあるのです。

 せっかくかけている保険ですので、「こんな時使えるのかな。」と迷ったときはまず保険会社に問い合わせてください。そのうえで、弁護士を使ったほうがよいかどうかも考えてみていただければと思います。