皆さんこんにちは。
この前の記事(2月28日)では、RSDという病態がそもそもどのようなものであるか、RSDの発生機序について書いていきました。
(前回の記事はこちら:RSDについて①)
そこで、今回は、RSDの症状、診断基準等をより具体的に検討していきたいと思っています。
RSDの4主徴と言われる、RSDの主な症状として疼痛、腫脹、関節拘縮、皮膚変化があります。疼痛は、原因となる外傷と比べると不釣り合いなほどに強烈なことが特徴といわれています。
このような症状を呈するRSDですが、RSDと診断されるための基準とはどのようなものでどのように取り扱われるのでしょうか。自賠責保険におけるRSDの認定方法は、症状固定時に
(1)関節拘縮
(2)骨の萎縮
(3)皮膚の変化
という慢性期の主要な3つのいずれの症状も健側(怪我をしていない方のことをいいます。)と比較して明らかに認められる場合に限り、3要件にかかる所見の程度及び関節拘縮の程度を参考にして、後遺障害等級第7級、第9級、第12級を認定するとされています。
この要件をみるとなかなか厳しい要件だと思います。というのも(1)関節拘縮、(2)骨の萎縮、(3)皮膚の変化という3つの症状がいずれも認められることが必要となります。つまり、たとえば関節拘縮、骨の萎縮があっても皮膚の変化がない場合は認定されないということになります。
さらに、この基準は(1)関節拘縮、(2)骨の萎縮、(3)皮膚の変化という症状が、健側と比較して「明らかに認められる」ことが要件となっています。つまり、3つの症状が認められる場合でも、健側と比較して「明らかに」認められない場合には認定されないということになります。
以上のようにRSDの認定基準はなかなか厳格なものだなと思われた方もいると思います。しかし、RSDの認定基準にあてはまらないから、直ちに後遺障害が否定されるというわけではありません。疼痛障害として12級、14級と認定されることもありえますし、被害者の訴える自覚症状が医学的に裏付けられるものであれば、それ以上の等級が認定されることもありえます。ですので、自賠責保険のRSDの認定基準にあてはまらないからといって、すぐにあきらめるのではなく、自分の症状が医学的に裏付けられるものではないかを検討することがとても大事ということですね。
それでは、また。
参考文献:民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻(講演録編)2006年(平成18年)財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部「RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)について」(髙取真理子裁判官著)