こんにちは。
交通事故の過失割合はだれが決めるの?と相談されたとき、「まずは当事者で協議して決めますが、事故態様が食い違うなどの理由で合意できず、裁判になったときは、裁判官が決めることになります。」とご説明しています。今回は、このように裁判で過失が争われ、無過失を勝ち取った事例をご紹介したいと思います。
本件は高速道路において進路変更の際に発生した事故だったのですが、事故態様について、ご依頼者様と相手方の認識が真っ向から食い違い、過失割合が争いになりました。ご依頼者様車両は、進路変更中の相手方車両に後方からぶつけられたことから、追突に類似する事故態様であると考えられ、相手方10:ご依頼者様0の過失割合を主張しましたが、相手方保険会社は、先行進路変更中の相手方車両に、後方から走行してきたご依頼者様車両がぶつかったとして、相手方7:ご依頼者様3の過失割合を主張しました。
過失割合について互譲して合意できないか交渉したのですが、そもそも事故態様に争いがある上、相手方が通院期間に比して極めて短い治療期間しか認めなかったことなどから、裁判によって解決する方がご依頼者様にメリットがあると判断し、訴訟提起しました。
裁判では、ご依頼者様車両の損傷状態を専門家に鑑定してもらい、車両の損傷状態は、ご依頼者様車両が後方から追突されたことを示していることを主張しました。また、事故前後の状況、事故の衝撃についてご依頼者様から詳しく聴取し、事故状況を臨場感を持って伝えられるようにしました。さらに、本人尋問において、相手方に事故前後の行動を詳しく尋問し、相手方の安全確認方法が不十分であったことを追及しました。
上記のような主張立証を尽くした結果、判決で無事ご依頼者様の無過失が認められました。
「動いている車両同士で無過失が認められることは難しい」とはそのとおりですが、具体的な事実関係の下で注意義務を尽くしたことを立証できれば、無過失を勝ち取ることもできるのだな、と改めて実感した事例でした。