回答

 改造車の修理費については、現在でも確定した考え方があるわけではありません。そこで、2つの考え方を紹介します。

(1)裁判例の考え方

 東京地判平成2年2月8日(判時1353号68頁)では、バンパーに金メッキを施した車について、

「本件の金メッキをしたバンパーは金メッキをしていない普通のバンパーと比べて、少しもその効用を増加せしめるものではなく、却って、交通事故発生の際は、自己の損害を拡大させる結果となるばかりか、そもそもバンパーは、交通事故が発生した場合に、自動車本体の損傷及び搭乗者の死傷を防止もしくは軽減させることを目的としているのであるから、バンパーに金メッキをすること自体社会的にみて相当な行為とはいえないというべきである。従って、バンパーに金メッキをするための費用は交通事故から通常発生する損害ということはできない。・・・原告のバンパーに金メッキをするための費用は、本件事故と相当因果関係のある損害ということができない。」

として、改造部分の修理費を、事故による損害とは認めませんでした。

 ここでは、効用の増加、社会的相当性、を基準にしているように見受けられます。

 この考え方であれば、上記<質問>については、改造部分が、車両の効用を増加するものであり、社会的相当性を有するものであれば、修理も相当として認められることになりそうです。